天候不順により、いただき物のR200SSの光軸調整が完了していません。ひとまずここまでのログです。
望遠鏡の状態
最初LEDライトで主鏡の状態を観察すると、かなりの塵やほこりが堆積しているようでした。また円形センターマークは貼られておらず、マジックで付けた4点ドットが有りました。
斜鏡には、オフセットした位置にマジックでドットが打ってありました。斜鏡の中心を出すのは大変そうなので、これが正しい斜鏡中心だとひとまず信じて進めることにしました。
下記ではだいたい合っていると書きましたが、
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良く見るとやはり主鏡に付いている4点ドットの中心とコリメーションアイピースの反射板の中心がほんの少しずれていました。
鏡洗浄
斜鏡、主鏡の洗浄をしてから主鏡のセンターマークを付けなくてはなりません。
まず、斜鏡は取り外さずに、ドローチューブ側からブロアーで吹いてから、表面全体を軽くレンズ用クリーニング液がしみ込んだシートで拭いた後、レンズ用クリーニング紙で空拭きしました。
6か所のネジをはずして鏡筒から主鏡セルを取り外したところが下記の写真です。
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/denden1025webkoza/20240528/20240528225546.jpg)
主鏡セルを取り外した状態
中心に4点ドットがマジックで打ってありました。主鏡エッジ部分3か所には各2つのイモネジ付のツメが有ってこれが主鏡を挟み込んで下の円形台座枠に取り付けられているようです。台座枠と主鏡側面との間には、木片のようなスペーサーが何か所か挟んであり微妙に調整してあることがわかります。
R200SSは主鏡の台座への取り付け構造が変更になっているようなのですが、多分変更前のものだと思います。
台座枠からはずしてしまうと再度正確に取り付ける自信が無いので、今回は台座枠からは取り外さずに、ツメで軽くはさまれている円形の保護ゴム(写真の主鏡周囲の黒いリング,古いので伸びておりツメで抑えていない部分は結構浮いています)のみはずして洗浄しました。洗浄方法は斜鏡と同じです。
主鏡のセンターマーク貼り
「3頂点が全て円周上に有り直径を1辺とする三角形の直径以外の頂点は必ず直角である」(タレースの定理)により、まず直角定規を使って直角頂点を主鏡円周上に置き、定規と円周が交わるその他の2頂点の主鏡側面に目印を付けて、目印間に釣り糸を張ります。
主鏡は凹面鏡なので、主鏡より大きい定規を置いても主鏡表面を傷つけることは有りません。
これを異なる3か所で繰り返すと3本の直径糸が張られます。3本が正確に交わる点が中心点です。実際にはちょっとでもずれると3本が1点で交わらず、何回かやり直しました。
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/denden1025webkoza/20240528/20240528231953.jpg)
直径糸を張ったところ
この後3本の交点下にマジックでドットを打つのですが、糸の下に斜めにマジックを挿入する必要があり意外と難しかったです。ドットを打った後は糸を外してこのドットを中心としてセンターマークシールを貼りました。
マジックでドットを打つのが難しかったので、最初は鏡筒と一緒にいただいたシールを直接ピンセットでつまんで貼ろうとしたのですが、変な位置に貼り付いてしまい、剥がすと破れて2枚とも無駄にしてしまいました。しょうがないのでφ8mmのマイタックシールにφ4mmの穴をくり抜いて貼りました。貼る前に最初の4点ドットは無水エタノールで拭いて消しました。
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/denden1025webkoza/20240528/20240528233056.jpg)
センターマーク
斜鏡の調整
主鏡セルを取り外した場所と同じ位置にはめ込んで(鏡筒と主鏡セル台座枠側面にあらかじめ位置合わせシールを貼っておいた)6か所のネジで固定。その際だいたい元と同じぐらいの固さで固定しました。はずした時に気づいたのですが、1か所だけネジがかなり固い箇所が有るんですよねえ。。他は結構緩いのに。筒の歪みが原因の気がします。大丈夫だろうか。。
そして、コリメーションアイピース(国際光機)を使って再度確認すると、やはり斜鏡のずれが確認できたので、コリメーションアイピースの取説記載の通り、十字ワイヤー線中心と主鏡センターマーク中心が一致するように、斜鏡位置を調整しました。
主鏡の傾き調整
これはもう、コリメーションアイピースで覗いても、微妙なズレ具合が分かりませんので、実際の恒星を使って調整する事にしました。
下の写真は5/26に2時間ぐらい晴れ間が出て何とか撮影できた、主鏡調整前の写真です。アルタイルを撮影した撮って出し画像をfitsビューアーで自動ストレッチしたものです。
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/denden1025webkoza/20240529/20240529000114.jpg)
2024/5/26 23:44頃撮影 アルタイル 撮って出し_主鏡調整前
ASI294MCPro , Gain200 , センサー温度 -5℃ , 露光 60sec
R200SS(D=200mm,f=800mm)+コマコレクター,
IRCutフィルター, CBPフィルター ,
AM5赤道儀 ,QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
撮影実験で観測した時と同様、左側が角張っていて右側が丸い感じです。いわゆる「おにぎり型」だと思います。
ピントをずらすと星像がボケていき、スパイダーにより4分割された円形像になります。この分割された領域面積が全て同じになるように、主鏡調整ネジを押し引きします。sharpcap上で出来るので手軽です。この方法は
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で、ズレ量の確認のために使いましたが、この時は画面を拡大していませんでした。今回200%に拡大したところ、ずれ方が結構良くわかるようになったので、精度よく調整できました。ただ、倍率を上げて調整ネジを回しているとすぐに画面からはみ出てしまうので、そのたびに赤道儀で中心に戻してから主鏡ネジをいじるという繰り返しでした。
この方法で追い込むことが出来たのですが、最後にこれで良し!と思ったところで全天雲だらけ。アルタイルもベガも全く写らなくなったため、調整効果を確かめる前に撤収せざるを得ませんでした。
一応コリメーションアイピースでの確認
なんか台風も来ていて、実際の恒星を使った調整効果の確認がいつできることやら。とりあえずコリメーションアイピースで覗いてみました。
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/denden1025webkoza/20240529/20240529003616.jpg)
恒星による主鏡調整後のコリメーションアイピース画像
この写真は、コリメーションアイピースの採光窓と望遠鏡先端の2か所をLEDライトで照らして、スマホで撮影したものです。
やっぱり良くわかりませんね。でも合っているように見えます。