仕事で納期に追われており、テレワークなのですが毎日残業。たまに休日仕事。こんなはずではなかったのに。。今月はまだ2回しか天体撮影できていません。それでも、1/26(金)は何とかプチ遠征することができました。月齢14.6の満月の夜なので、満月でどれだけの写真になるかの実験って感じです。
そして今回は、ASKAR FMA135を使ったファーストライトです。これは135mm,F4.5のカメラレンズみたいな超小型望遠鏡で、小型ですが3枚玉アポクロマート+フラットナーレンズ内蔵で、イメージサークル内でフラットな像を結ぶそうです。イメージサークルはAPS-Cの範囲までカバーしているそうで、ネット上の情報によるとフルサイズでもそれなりに使えるという情報もあったので、EOS RPでも使ってみようと思って購入しました。
最適光路長(55mm)が取説に書いてあるので助かります。下記が接続構成です。BLANCA70-EDTでも使用しているbaader planetariumのフィルタードロワーを使用しています。これにより、手持ちM48サイズのフィルターが使えます。FMA135に合わせるために望遠鏡側の42mm接続板と42mm延長筒を追加調達しました。下図が接続構成です。光路長は合計55.2mmにしています。
センサーの右辺が北側を向くように回転してあります。赤い部分は、標準添付のファインダーシューへの取り付け台座です。下の写真は、BLANCA-70EDTのファインダーシューに搭載したところです。未使用でも赤道儀にはBLANCAを搭載してその上にFMA135を搭載して撮影します。台座の上にさらに載っている赤いやつは、別途購入したFMA135専用のシュミットオリジナル延長台座です。ここにオートガイダーを載せます。
下記が、今回のファーストライトで仕上げたバーナードループ写真です。初めての撮影です。
<諸元>
- 機材:
EOS RP(hkir) , FMA135,
IRCutフィルター,L-eXtremeフィルター ,AM5赤道儀 ,
QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡 - 支援ソフトウェア:
ステラリウムによる自動導入 ,
NINAによるディザリング撮影とPlateSolving
,PHD2による2軸オードガイド
,ASI Mount Serverによる赤道儀連携 - 撮影地:
神奈川県茅ヶ崎市自宅近く農道 - 撮影日時:
2024/01/26(金)22:05 ~ 2024/01/27(土)00:55 - 撮影条件:
IS800 , 60sec x 121コマ(総露光時間121分) - 編集:
PixInsightのWBPPスクリプトで2xDrizzle Integration後トリミング(フルサイズ換算焦点距離180mm相当)と回転。ABEでムラ補正し疑似AOO合成で色合わせした画像から星雲画像、手動色合わせした画像から星画像を取り出し、各々BXTや彩度増加などの編集をしてから合成。
トラブルにより3時間露光する予定が2時間程度となりました。バーナードループの全景とM42をどうしても残したかったのでトリミングでも周辺コマ収差が残っています。フルサイズ換算180mmのトリミングですが、APS-Cだとすると202.5mmなので、中心を維持してこれぐらいまでトリミングすればFMA135の仕様通り確かに星像はシャープだと思います。
一応「満月の夜にバーナードループを撮る」という実験は成功としておきます。あと1時間露光できればもう少し表現できてたと思います。再チャレンジは来年かな。でも初めて撮影した天体なのでやはり感動でした。オリオン座三ツ星の左にこんな大きな星雲が存在しているという想像とともに。
WBPP完了した写真には、ベテルギウス方向からの強烈な満月の明かり、そして西の空に移ってからの強烈な街の光害。L-eXtremeフィルターを使ってもこれら両方が写り込んでいました。両方をABEで同時にムラ補正することはできませんでした。DBEで時間をかければ可能性はあるかもしれません。基本的には、月明かりだけが支配的な時間帯と西の街明かりが支配的な時間帯でIntegrationを2回に分けるのが良いとは思うのですが、後の祭り。しょうがないので最初にトリミングして月明かりが撮れない部分をカットしてから処理開始しました。これによりオリオン座の左下の2等星サイフは残せませんでした。
いつもEOS RPでは行っているディザリング撮影をしました。やりたいDrizzle Integrationはディザリング撮影必須でもあるためです。でも今回はBackYardEOSではなくて、CMOSカメラでもディザリング撮影することができるNINAを使っています。このソフトを使うのは2回目なので、使い方をすっかり忘れていてかなり時間を食ってしまいました。こうなると冷静さを欠き、色々とトラブルものです。
まずはNINAのフリーズ。色々開いている状態でNINAで撮影開始したらNINAがフリーズ。CPUパワーが100%に振り切っていました。ステラリウムなどとりあえず撮影には不要なソフトを全部閉じて何とか撮影開始。でも今度は途中でカメラ接続が切れる。。
EOSなので専用のACアダプターケーブルを電池BOXに挿してポタ電のACコンセントから電源を取っているので電源プラグ抜けとかは考えにくい。。USBケーブルをHUBから抜き差しすると直りました。かなり古いケーブルなので接続不良を起こしたのだと思っています。次回は新調しないと。
そうこうしているうちに21:30を過ぎ、子午線反転する時間。子午線反転動作を行った後、今度はAM5が接続断。原因が全く分からずかなり焦って「修理」という単語が頭に浮かぶ頃、赤道儀コネクタ部で電源プラグが抜けていることに気づきました。ケーブル突っ張りによる抜けです。これも次回対策が必要です。
というわけで遅い時間からの子午線反転スタートでした。
編集も苦労しました。今までPixinsightのバージョンはインストールしたままの1.8.9-1だったのですが、今回1.8.9-2 Build1597にアップしました。ところがここでトラブル。もともと手動インストールしたstarnet2がインストールやり直しになったのは予測の範囲内だったのですが、PixinsightのProcess-Moduleメニューを使って登録したBlurXTerminatorが動かない。インストールされているのに。実行すると下記のエラーメッセージが出ます。
Error: ERROR: MLLoad() could not load tensorflow graph. Error 3: Converting GraphDef to Graph has failed. The binary trying to import the GraphDef was built when GraphDef version was 440. The GraphDef was produced by a binary built when GraphDef version was 1645. The difference between these versions is larger than TensorFlow's forward compatibility guarantee. ...
tensorflow graphをロードできない?GraphDef が最新でないようなコメント。そこでフォーラムを調べていると、2023/12/15に同じ現象を投稿している人がいました。その回答の下記リンクをたどると、 tensorflow.dllを差し替えれば直ると書いてありました。
このページ内のダウンロード元からダウンロードして上書きコピー後Pixinsightを再起動すると直りました。
2x Drizzle Integrationした星雲画像はなかなかの解像感です。でもWBPP完了まで9時間ぐらいかかりました(実は露光時間を5sで撮影した画像も同時Integrationした時間も含んでいます。こちらはあまり効果が無いので使いませんでした)。撮影用ノートPCとともに編集用PCの新調が必要な気がしています。
なぜかPixInsightのImageSolverScriptのエラーが解消できなかたので今回は星画像は手動色合わせしています。同理由によりアノテーション付き画像も用意できていません。ImageSolverScriptはEOS RPで撮影すると失敗することが多いんです。原因不明です。