楽しい記憶

天体写真や花鳥風月の写真など

カモメ星雲のダイナミックな姿

月が接近しており、オリオン座周囲も撮影しづらくなってきました。朝方まで粘れれば良いのですが、次の日の仕事を考えると。。

今回の撮影日1/16(火)は、月齢4.6の月が22:40に没する状況でした。没してからの撮影だと撤収がかなり遅い時間になってしまうので、月明かりの中デュアルナローバンドフィルターを使用して開始しました。この日は夕方まで有った風が、全く無くなり、しかも快晴。良い写真になる予感。。

対象は、カモメ星雲(Seagull Nebula:IC2177)です。-1等星シリウスより少し高度があるものの、南中高度は約40°と結構低い天体です。この星雲も以前一眼レフカメラで撮影しています。

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この時はISO1000で総露光時間84分でしたが、かなり荒い写真になってしまいました。まだPixInsightでの編集を行っておらず、後で星を小さくする処理だけをPixInsightで行っています。

今回は3時間以上露光するつもりで、20:30頃から撮影開始。途中11時過ぎに子午線反転のため再導入してからさらに少し露光しました。下記が仕上げた写真です。

カモメ星雲(IC2177)

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用0.8xレデューサーII ,
    IRCutフィルター,L-eXtremeフィルター , AM5赤道儀  ,
    QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 ,
    SharpCapによる撮影 ,PHD2による2軸オードガイド 
     , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅近く農道
  • 撮影日時:
    2024/01/16(火)20:20 ~ 2024/01/17(水)00:11
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -20℃ 
    120sec x 104コマ(総露光時間208分)
  • 編集:
    PixInsightで加算平均合成後ABEでムラ補正し、疑似AOO合成で色合わせした画像から星雲画像、SPCCで色合わせした画像から星画像を取り出し、各々BXTや彩度増加などの編集をしてから合成。トリミング(フルサイズ換算焦点距離656mm相当)

トリミングは、子午線反転後の位置ズレの影響が出ている周囲部分を落とす程度にしました。

予定通り3時間以上露光できましたが、やはり淡い天体ですね。正直もう少し表現できると考えていました。でもフラット補正も決まり、ABEによるムラ補正も良くできて、それなりのS/Nが確保できたので、まあまあ詳細構造を表現できました。頭の上の2本の耳が後ろにたなびいているような感じもわかります。なによりも羽を広げたダイナミックな形が良いと思っています。前回とは比べるべくもない感じです。

下記はアノテーションを入れた画像です。

PixInsightのAnnotateImage Scriptではカモメ星雲IC2177を含む全体がsh2-296となっています。頭の部分のsh2-292には青っぽく写る反射星雲が存在しているようですが、デュアルナローでは全く写りませんでした。

羽の端から端までは、3°近くある大変大きなHII領域です。この星雲は、一角獣座の足元、おおいぬ座の頭の上にあります。

IC2177の位置:ステラリウムより