今日はリフレッシュ休暇に入って2日目の11/18(土)に撮影したHII領域写真の紹介です。1枚目はカリフォルニア星雲、2枚目は勾玉星雲&オタマジャクシ星雲。どちらも大きな星雲で、マイクロフォーサーズのセンサーだと336mmの焦点距離でぎりぎり画角に収まります。
もちろんこれらの天体も初めての撮影です。初めての天体を撮影し写真がPC上で浮かび上がる時はいつもかなりのワクワク感があります。この日は三日月が21時過ぎに沈むので、撮影にはあまり影響しませんでした。カリフォルニア星雲は庭先でも問題無く撮れるのですが、天頂付近を通過する勾玉星雲は、電線通過待ちが長く発生してしまいそうなので、近くの農道に遠征しました。
カリフォルニア星雲(NGC1499)
下記が仕上げたカリフォルニア星雲です。
<諸元>
- 機材:
ASI294MCPro, BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用0.8xレデューサーII ,
IRCutフィルター,QBPフィルター Ⅲ, AM5赤道儀 ,
QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡 - 支援ソフトウェア:
ステラリウムによる自動導入 ,SharpCapによる撮影とPlateSolving
,PHD2による2軸オードガイド
, ASI Mount Serverによる赤道儀連携 - 撮影地:
神奈川県茅ヶ崎市自宅近く農道 - 撮影日時:
2023/11/18(土)19:42 ~ 21:47 - 撮影条件:
Gain200 , センサー温度 -5℃
120sec x 60コマ(総露光時間120分) - 編集:
PixInsightで加算平均合成後トリミング
(フルサイズ換算焦点距離690mm相当)等
疑似AOO(hα-->R,OIII-->G,B)処理により自然なピンク寄りの赤が表現できました。また、明るい部分と暗い部分のコントラストも強調でき、初めてにしては結構な出来かと自己満足しています。ただ、若干周辺コマ収差の影響が残っています。途中の3枚の星が若干流れており歩留率は95.2%(60/63)。この天体の位置は、左手にメデューサの首を持ったペルセウスの左足の脛あたりです。
0.8xレデューサーレンズやフラットナーレンズを使った時の周辺収差については、最適なバックフォーカスを撮影のたびに光路長を5mmずつ変更して実験中です。だいぶ絞り込めて来ていますが、もう一息というところです。
この星雲はOIIIに時間をかけたモノクロ撮影画像にSAO合成処理を施すと、青が強調されたグラデーションの様になり大変カラフルに仕上がって面白いようです。
下記はアノテーション入り画像です。横幅の見た目の大きさは、3°ぐらいは有りそうです。
勾玉星雲(IC405)とオタマジャクシ星雲(IC410)
次は勾玉星雲とオタマジャクシ星雲です。
<諸元>
- 機材:
ASI294MCPro, BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用0.8xレデューサーII ,
IRCutフィルター,QBPフィルター Ⅲ, AM5赤道儀 ,
QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡 - 支援ソフトウェア:
ステラリウムによる自動導入 ,SharpCapによる撮影とPlateSolving
,PHD2による2軸オードガイド
, ASI Mount Serverによる赤道儀連携 - 撮影地:
神奈川県茅ヶ崎市自宅近く農道 - 撮影日時:
2023/11/18(土)22:34 ~ 2023/11/19(日)00:39 - 撮影条件:
Gain200 , センサー温度 -5℃
120sec x 56コマ(総露光時間112分) - 編集:
PixInsightで加算平均合成後トリミング
(フルサイズ換算焦点距離710mm相当)等
この写真も星雲は疑似AOO処理で色合わせしています。ぎょしゃ座の5角形の南底辺少し北部分に位置していて、2つセットで撮影されることが多い天体です。途中6枚の星が若干流れており歩留率は90.5%(57/63)でした。
細部構造も良く表現でき、IC410の方にはオタマジャクシが2匹泳いでいるのも分かります。ただ、天の川の中にあるため、微恒星が多く周辺コマ収差の影響を軽減するのに苦労しました。
最近は、周辺コマ収差の軽減策として、BlurXTerminator(強くかけると間延びしていた星が星割れするがHaloを少し増やすと星割れが起きにくくなる)と小さい星を暗くする処理(Starnet2で分離した星画像からMorphologicalTransformationにより得た大きい星画像をPixmathで減算して取得した、小さい星画像をマスクにしてHistgram減光する)で誤魔化しています。それでも最後はトリミングで周辺部をカットすることが必要です。
下記はアノテーション画像です。
この写真の左から右まで3°ぐらい視野角です。勾玉星雲の中心にあるAE Aurは、ウィキペディアによると、オリオン座の連星系同士の衝突ではじき出された若いオリオンタイプ変光星だそうです。この星のおかげで勾玉の穴の部分は青白く光っています。
天体の位置
最後にステラリウムで星座絵を表示して、位置がわかる画像を掲載します。下図は上が北です。
真冬の星座であるオリオン座より早く上がってくるペルセウス座とぎゃしゃ座にある天体です。薄くてわかりずらいですが、カシオペア座からぎゃしゃ座にかけて冬の天の川が通っており、にぎやかな場所の一つです。