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初撮影_かみのけ座の黒眼銀河(M64)

アンドロメダ銀河を除く系外銀河の写真を仕上げるには、7cm f6という小口径望遠鏡による直焦点撮影では、最低でも5時間以上の総露光時間が欲しいと最近では思うようになりました。今回挑戦したのは、かみのけ座にあるM64、通称「黒眼銀河」です。

黒眼のような暗黒帯が有るのが最大の特徴で、みかけの明るさは9.4等級と暗いものの、視直径は長手約10' と比較的大きな銀河です。視直径が比較的大きいのは、距離は1,900万光年の彼方ですが、実際の大きさが52,000光年もある巨大な銀河だからです。

黒眼以外の特徴として、Wikipediaによると、過去の伴銀河との衝突の名残で銀河の回転と逆回転をしている周囲ガスが存在していることだそうです。このガスは私の写真では全く判別できません。

2024/4/10,4/14撮影 黒眼銀河M64

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII
    (D=70mm,f=420mm), IRCutフィルター,
    CBPフィルター (ブロードバンド撮影),
    AM5赤道儀  ,QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 ,
    APTによるPlateSolvingとディザリング撮影 ,
    PHD2による2軸オードガイド  , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅ベランダ(1) ,(2)
  • 撮影日時:
    (1)ブロードバンド撮影:2024/04/10(水)21:10 ~ 2024/04/11(木)00:45
    (2)ブロードバンド撮影:2024/04/14(日)20:40 ~ 2024/04/15(月)00:28
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -20℃ 
    (1)240sec x 24コマ(露光時間96分)
    (2)240sec x 47コマ(露光時間188分)
    総露光時間:284分
  • 編集:
    PixInsightで(1)(2)から選別した全ての写真を加算平均合成後、GraXpertでムラ補正、SPCCで色合わせ後、星以外と星画像に分離し各々BXTや彩度増加等の編集後、星以外画像と星画像をscreenstars scriptで合成。
    トリミング(フルサイズ換算焦点距離2730mm相当)

初日のコマ数が稼げませんでした。原因は散発的にやって来る薄雲。これにより19コマがNGとなったため、目標の5時間を達成できませんでした。この19コマを除外した後の、1日目と2日目全コマをSubFrameSelectorで品質算定し、銀河のアルゴリズムによるweightをかけたグラフ上で品質ワースト1,2の2コマをさらに除外しました。

効果が期待できないので、今回はL-extremeフィルターによるナローバンド撮影は行いませんでした。WBPPによるエラーも出ず、それなりのS/Nが確保できたので、最近の編集では楽な方でした。星以外と星画像を分離編集後合成するので、今回は銀河部分と星の輝度のバランスに特に気を使いました。また、私の場合リニアなL画像にBXT後ストレッチするのですが、最終工程(LRGB_C)後のL画像が飽和(白飛び)しないようにストレッチしました。

それと、PixInsightのupdateを行ってから編集開始したのですが、graxpert(ムラ補正script)がエラーで起動しませんでした。フォーラムで調べようと思ってその日は寝てしまったのですが、本日私がいつも拝読させていただいているブログ「もりのせいかつ 別館」を閲覧していると、同じ事象を解決した記事が4/16にアップされていました。さっそく書かれている対応をしたところ、なんなく解決!フォーラムを調べる手間が省けました。ありがとうございます!

morinoseikatsu2.hatenablog.com

update logを見ると、screen starsのupdate以外に、Toolbox-Packageなるものがインストールされた模様。おそらくToolboxサブメニューの中にあるgraxpert scriptもVerUpされたか、PixInsight自体かscriptの設定が変更されたのでしょう(以前のVerを覚えていないので正確にはわかりません)。今回の事象はインストーラー作成時の人的ミスのような気がしています。updateされた全scriptの実環境での動作確認は実施されていないのでしょうか。

いつものように、crop前の写真にアノテーションを入れてみました。

M64クロップ前のアノテーション

確かに長手方向の大きさは、10'は有りそうです。かみのけ座も系外銀河が大変多いことが良くわかります。私の写真ではほとんどが、恒星と区別できませんが。。

最後に、位置を示す星座絵です。春の星座である、おとめ座の1等星スピカから35° ほど北に行った、かみのけ座の中にあります。

M64の場所:ステラリウムより