楽しい記憶

天体写真や花鳥風月の写真など

おおぐま座の回転花火銀河M101

昨日3/9(土)の茅ヶ崎市の夜は、最初雲が出ていましたが、21時頃から無くなりました。予報より雲が無くなるのが遅かったとは言え、絶好の撮影日和でした。

月の出ている2/28(水)にナローバンド撮影を行っていた回転花火銀河(M101)の、この日はCBPフィルターによるブロードバンド撮影を行いました。

この銀河も去年5月に、スカイメモを使って四苦八苦して撮影しています。

webkoza.hatenablog.com

M82,M82同様AM5赤道儀を使って露光時間を大幅に増やしました。またナローバンド画像とブロードバンド画像のブレンドも行いました。

下記が仕上げた写真です。

2024/02/28,2024/03/09撮影 回転花火銀河(M101)

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII
    (D=70mm,f=420mm), IRCutフィルター,
    CBPフィルター(ブロードバンド撮影),
    L-eXtremeフィルター (ナローバンド撮影),
    AM5赤道儀  ,QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 ,
    SharpCapによるプレートソルビング ,APTによるディザリング撮影 ,
    PHD2による2軸オードガイド  , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅庭先
  • 撮影日時:
    (1)ナローバンド撮影:2024/02/28(水)21:26 ~ 2024/02/29(木) 00:48
    (2)ブロードバンド撮影:2024/03/09(土)21:56 ~ 2024/03/10 (日)02:38
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -20℃ 
    (1)240sec x 42コマ(露光時間168分)
    (2)240sec x 64コマ(露光時間248分)
    総露光時間:416分
  • 編集:
    PixInsightで(1)(2)各々加算平均合成後GraXpertでムラ補正→ブロードバンド画像をSPCCで色合わせ→ナローバンド画像をブロードバンド画像に星位置合わせ→ブロードバンド画像をStar画像(①)とそれ以外(②)に分離しそれぞれBXT→ナローバンド画像からStarを除去した画像にBXT(③)→③からhαとOIII画像を抽出し②にブレンド(④)→①(BXT後のノンリニアStar画像)に彩度増加などを行い、④(ブレンド後のノンリニア星以外画像)に彩度増加・Histgram調整・Curv調整・デノイズなどの編集を行ってから合成→トリミング(フルサイズ換算焦点距離1260mm相当)

かなりS/Nが向上し、銀河も滑らかに仕上げることができました。一応目的達成と思っています。

減点対象を上げるならば、ネット上の超高解像度写真と比較すると、銀河内の星やHII領域の色が少しおかしい気がする点です。今回SPCC後のブロードバンド画像の色が、緑っぽくなりました。トーンカーブ補正で手動補正しましたが、この影響だと思います。また、星の形も少しおかしなものが有るようです。

丹羽さんの楽しい天体観測では、「SPCCでは色を正しく出すためにDrizzle必須」と書いてありました。ぜひ時間が取れたら試してみたいと思います。Drizzle Integrationでは上記2つとも改善が期待できそうです。ただ、ナローバンド画像はディザリング撮影を行っていないので、ブレンドするためにはブロードバンド画像のWBPPにおけるDrizzle ConfigurationのScaleは1を指定すれば良いのかな。。

それと、APTを使ってディザリング撮影をしたおかげで、縮面ノイズは出ませんでした。APTは今回初めて使ってみましたが、プレートソルビングがうまくいかず、ASTAPのエラーが出た模様。すぐには解決できそうにないので、今回はSharpCapの「プレートソルブ後再同期」で精密導入を行ってから、ディザリング撮影のみをAPTで行いました。撮影ツールとしてのAPTは全く問題無く、センサー温度を自動でゆっくり上下させることができるのが便利です。欲を言えば、Sharpcapのようにその時のクーリングパワーをモニターできれば安心です。

APTはNINAほど重くありませんが、撮影中にステラリウムを動かしていると、ストールする時がありました。やはり私の非力なノートPCでは、撮影中はステラリウムを終了させることは必須要件のようです。

下記は横長にクロップした写真(フルサイズ換算焦点距離960mm相当)にアノテーションを入れた画像です。

M101内に9個のHII領域が表示されています。下の方の矮小銀河NGC5474はM101の最も近い伴銀河だそうです。

去年の2023/05/20に新天体捜索家として世界的に有名な板垣さんが、この銀河内で発見し、今ではかなり暗くなった超新星SN2023ixfが写っていました。新星が発見される直前に撮影した前回の写真に並べてみました。

左:2023/05/17撮影 右:2024/02/28,03/09撮影

発見された直後の2023/05/26に撮影されたここの写真を見てみると、今回の私の写真ではすぐ上に位置する暗い恒星との相対的明るさがずいぶん暗くなっているのがわかります。

最後に星座絵を掲載しておきます。M81,M82とM101は全て北斗七星を含むおおぐま座に位置しています。

M81,M82,M101の場所