楽しい記憶

天体写真や花鳥風月の写真など

2024初撮り_バラ星雲

新年あけましておめでとうございます。みなさん良い年をお迎えでしょうか。

私は今年もあわただしい正月です。今年もはてブロに力を入れていきますので何卒宜しくお願い致します。

今日は元旦に撮影した、一角獣座のバラ星雲写真です。1/2-3日と帰省したので記事が遅くなってしまいました。この星雲は、天体改造(hkir)したEOS RPで去年の2/9に撮影しています。

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この時は、スカイメモSWを使ってベランダで90分間露光しました。今回は初めてカラー冷却CMOSカメラでの撮影です。高度が低い時間からの撮影なのと、途中月が出てくるので、その光害除去能力に期待してデュアルナローバンドフィルターを使って3時間以上露光しました。スカイメモSWの1軸オートガイドではこれほど長い時間は非常に困難です。極軸合わせと天体の手動導入に時間がかかる事と、1時間ぐらいで極軸調整のやり直しを行う必要があったからです。赤道儀をAM5にしてからは、極軸合わせはPoleMasterを使って10分ほどで完了し、導入は数分で完了します。また私の光学系では3時間ぐらいは完全ノータッチガイドで全く問題有りません。

下記が仕上げた写真です。

2024/01/01撮影 疑似AOO合成したバラ星雲

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro, BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用0.8xレデューサーII ,
    IRCutフィルター,L-eXtremeフィルター,
    AM5赤道儀  , QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡,
    極軸カメラ Pole Master
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入  ,SharpCapによる撮影とPlateSolving
     ,PHD2による2軸オートガイド 
    , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅近く農道
  • 撮影日時:
    2024/01/01(月)19:28 ~ 23:16
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -20℃ 
    120sec x 93コマ(総露光時間186分)
  • 編集:
    PixInsightで加算平均合成後、疑似AOOによる色合わせ画像から星雲画像を、SPCCによる色合わせ画像から星画像を各々取り出し、それぞれBXTや彩度増加などの編集をしてから合成。トリミング無し(フルサイズ換算焦点距離633mm相当)

途中雲通過待ちが発生したので、予定よりずいぶん時間がかかりました。

去年2月に撮影した写真はそれなりに満足できたのですが、今回と比べると雲泥の差ですね。これほど品質が向上するとは驚きです。カメラと赤道儀が変わり、露光時間が増えたことが一番の要因だと思いますが、画像編集技術の向上もかなりのファクターだと感じています。

BXTのAIがVer4になってすぐにUpDateしていたのですが、プルダウン選択でVer4を選択しないとデフォルトのVer2のままで動いていることに気づいていませんでした。なので、今回の写真から初めてAI Ver4でBXTをかけています。驚いたのは、星の尖鋭化が大変進化していることです。周辺コマ収差の補正が結構なレベルで出来るんです!以前のように強くBXTをかけても、周辺コマ収差で伸びた星像が明らかに「星割れ」しにくく、点像に変換されます。

0.8xレデューサーによる最適な光路長がようやく見つかったことも有りますが、上記AIの進化のおかげも有って今回はノートリミングです。それでも収差補正は完全では有りませんが。。

それと、0.8xレデューサーとL-eXtremeフィルター(ドロワー使用)の組み合わせが初めてだったのですが、当日FLATを撮るのを忘れてしまいました。面倒なので、モンキーヘッド星雲でやった様に、ムラ補正処理のABEの関数次数を20次以上に上げて、L-eXtremeのドロワー内反射だけを取り除こうとしたのですが、うまくいかず、

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中心部が不自然に暗く落ち込んでしまったのでボツとしました。1/3に帰宅後FLATを撮影(カメラは望遠鏡に付けたままにしておいた)しました。この画像を使用してWBPPをやり直したのが上記写真です。

細部構造もかなり立体的になり、グロビュールの構造も以前より良くわかります。それと、この星雲、視点を変えると、少し右を向いている骸骨にも見えるんですよねえ。わかります?今回は右目のさらに外側の丸い暗黒部も表現できました。

下記はアノテーション画像です。

視直径は90'ぐらい、実際の直径は130光年ほどの巨大な天体です。NGCカタログでは、NGC2237,2238,2246が星雲部分、NGC2239,2244は中心部の散開星団です。NGC2252は星雲の外周にある散開星団です。シャープレスカタログでは、全体にsh2-275という番号が付いています。

星雲としては、中心部に生まれた星団の若くて青い恒星により巨大分子雲がイオン化されたHII領域で、やがてこれら高温の若い星からの輻射圧によって星雲は吹き払われる運命にありますが、グロビュールと呼ばれる暗黒帯(星形成領域)では今でも新しい星が生まれています。ガスは中心からどんどん吹き払われているわけですが、その速度と星雲全体の立体構造との関連については、今でも学術的に議論されている分野のようです。

最後はいつものように、天体の位置がわかる星座絵です。一角獣の口の部分に有ります。

バラ星雲の場所:ステラリウムより