楽しい記憶

天体写真や花鳥風月の写真など

再撮影_火を吐くパックマン

2023/9/28に撮影したパックマン星雲(NGC281)が、満月(=今回は仲秋の名月)1日前の激しい月明かりのためにS/Nを上げられずザラザラな写真に終わったため、昨日10/6に再撮影しました。下弦の月が22時過ぎに出現するものの、19:30から撮影開始すれば月の影響を受ける前に2時間半の露光が可能だと考えました。

仕事を終えてから急いで近くのスーパーに行き、食材と夕食のおにぎりセットを調達。夕食は露光開始後と決め、レンズ清掃やら機材準備をして19:00頃庭先への機材設置に取り掛かりました。でもDrift Alignment(北極星を使わない極軸合わせ)に手間取ってしまい、結局露光開始できたのは、20:30頃になってしまいました。

下記が仕上げた写真です。

パックマン星雲(NGC281)

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII ,
    IRCutフィルター,QBPフィルター , AM5赤道儀  ,
    QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 ,
    SharpCapによる撮影 ,PHD2による2軸オードガイド 
     , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅庭先
  • 撮影日時:
    2023/10/6(金)20:29 ~ 2023/10/7(土)01:09
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -5℃ 
    120sec x 71コマ(総露光時間142分)
    月齢21.1(下弦),月出22:12
  • 編集:
     PixInsightで加算平均合成後トリミング
    (フルサイズ換算焦点距離1640mm相当)等

若干北の空に雲が有ったものの風向きから問題無いと判断し撮影開始。しかし、21:00過ぎると雲によりガイドエラーが出だしました。22時過ぎに月が出て来た時点ではコマ数を全く稼げていませんでした。結局途中の子午線越え後も継続し、1時過ぎまで撮影しました。歩留まり率は71/129枚(55%)。酷い状況でしたけど、再チャレンジだったので途中でやめる気にはなれず粘りました。本当は2時間半露光したかったのですが、結局142分。前回より10分短い総露光時間になりました。

<前回の記事>

webkoza.hatenablog.com

でも苦労した甲斐が有ってかなり良くなったと思います。全体のS/Nが向上し、淡い部分も表現でき、頭には角が生え、口から火を吐いています。こんな凶悪な顔。。パックマンとは呼べないかも。

光害カブリは前回よりかなり少なく、ABEで無理なく綺麗に除去できました。おかげでRangeSelectionでうまくマスクを生成することが出来、星雲部分を狙ったColorSaturationによる彩度向上と、Curv補正による色コントラストの向上がうまくいきました。

下記に最近私が必ず行う、PixInsight上のBlurXTerminator(BXT)による鮮鋭化処理手順を紹介しておきます。BXTによる処理はリニアフェーズで行います。以前も紹介しましたが、ダイコモンさんの記事を参考にしてます。

<Integration後>

  1. ABE(またはDBE)によるムラ補正
  2. Image Solver
  3. PCCによる色合わせ
  4. L画像に対し、BXT実施
  5. 再度L画像抽出(Lc)
  6. LinearFitでLc画像にL画像の輝度を合わせる
  7. ------------------ここまでリニアフェーズ
  8. カラー画像とL画像をSTFストレッチ(適宜他のストレッチ方法に変更)
  9. ストレッチしたカラー画像からL画像抽出(Lc2)
  10. LinearFitでLc2画像にストレッチしたL画像の輝度を合わせる
  11. LRGBCombinationでストレッチしたカラー画像に上記L画像を合成
  12. ------------------ここでBXTによる先鋭化が完了

 

S/Nが有る程度高ければ、BXTによるNon Stellar部分のコントラスト向上の効果が大変上がります。下記に今回適用したパラメータと効果を紹介しておきます。星が小さくなりすぎないようにSharpen Starsを0.15にし、Automatic PSFのチェックをはずし、 PSF Diameterを3.85、Sharpen Nonstellarを 0.98に上げました。

BXTパラメータ

 

↓↓↓

<今回の写真のリニアフェーズでのL画像に対するBXT効果>