楽しい記憶

天体写真や花鳥風月の写真など

BlurXTerminator を使ってみました

さすがに月が頑張っているので、プチ遠征もしにくいこの頃。それでも雲が無ければ庭先で月から離れた天体なら撮れるかも。。などと夕方になると考え始めます。そして今日8/3は庭先でこぎつね座網状星雲の追加フレームを撮影しながら、撮影用PCにWifi経由でリモートログインした部屋の中のPCを使って、このブログを書きはじめました。

さて、今回の記事はPixInsightにBlurXTerminatorのお試し版をインストールして試してみた結果報告です。といっても大した記事ではありません。。

PixInsightではDeocnvolutionにより星や天体の構造をシャープにすることが出来ますが以前触れたように、試行錯誤を繰り返して最適なパラメータを見つける必要があります。しかしこの過程は大変時間がかかります。私の場合経験不足もあり、30分以上カット&トライしても見つからない事も有りました。

このDeconvolutionのパラメータ設定を大幅に自動化してDeconvolutionを実行してくれるBlurXTerminatorというプラグインが発売され話題になり、日本でもユーザーが増えているようです。私もさっそくお試し版をインストールして使ってみました。丹羽さんだいこもんさんのブログで紹介されており、それらを参照すればなんなく使用できました。

要点はRGB画像に対してBlurXTerminator(以下BXT)を実行するのではなくて、L画像に行うという事です。RGB画像に実行してしまうと、星の色がおかしくなります。

ここからは、前回紹介したM27写真を含む記事

webkoza.hatenablog.com

のM27について、リニア段階(crop-ムラ補正-PCCによる色合わせ)まで行った画像を用いたBXTの効果について記します。

下記は、PCCまで行った画像。

M27のBXT前の画像

そして次の画像は、RGB画像にBXTを実行した画像です。

M27のRGB画像にBXTを実行した画像

両方の画像を比べてみてください。確かに星が小さくシャープになっていますが、赤寄りの星が青寄りの色に変化してしまっているのが分かると思います。

次の2枚は、RGB画像から取り出したL画像とそれにBXTを実行した画像(L2)です。

M27のL画像(BXT実行前)

M27のL画像にBXTを実行した直後の画像

当然ですが星がシャープになる効果だけが出ています。BXTのパラメータはデフォルトのままです。

デフォルト設定のまま実行ボタンを押すだけでこの効果です。正直驚きでした。この後は、だいこもんさんのブログ記事通りに、下記の手順でRGB画像とL画像を合成しました。

  1. LinearFitで、取り出したL画像にBXTを実行した画像(L2)の輝度を合わせる。
  2. RGB画像とL2画像両方に同等の弱いストレッチ(→RGB2 , L3)を行う。
  3. LinearFitで、RGB2画像から取り出したL画像にL3画像の輝度を合わせる。
  4. LRGBCombinationでRGB2画像にL3画像を合成する。

この後RangeSelectionを使ってマスク生成し、マスクワークにて色強調やカーブ補正を行って最後にTGVDenoiseをかけて仕上げた写真が下記です。前回記事の写真と比べてみてください。BXT以外の処理の違いも大きいと思いますが、BXTの効果がかなり出ていて個人的にはかなり良くなっていると思っています。

BXTを使い編集し直したM27

<M27諸元>

●機材:
ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII ,
CBPフィルター , IR Cutフィルター , AM5赤道儀  , QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
●支援ソフトウェア:
 ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによる撮影 ,PHD2による2軸オードガイド 
 , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
●撮影地:神奈川県茅ヶ崎市自宅庭先
●撮影日:2023/7/25(火)
●撮影条件:Gain200 , センサー温度 -5℃ ,120sec x 11コマ(総露光時間22分)
●編集:
 PixInsightで加算平均合成後トリミング(フルサイズ換算焦点距離4000mm相当)等
(BXTを実行して再編集)

 

いろんな方の写真に比べれば大した写真では無いのですが、7cm F6 鏡で撮った写真がこのような写真になること自体に、驚きを感じています。露光時間をもっと取って、私自身の画像処理技術や知識が向上すれば、もっと解像度のある写真になる予感がします。天体写真とは、まさしく「沼」ですね。