楽しい記憶

天体写真や花鳥風月の写真など

夏の代表的な個性派3天体

梅雨が明けると襲ってくるのは猛暑。。茅ヶ崎市も35℃越えの日が続いています。それでも土日の海岸には人が出てるんだろうなあ。土日は鳥探に出かけたいと思っているものの、つい家に引きこもる事が多くなっています。でも写真が撮れる夜は外に出ます。

ということで今回は、2023/7/25(火)に夏の代表的個性派3天体を撮影した写真の紹介です。庭先に出れば、天頂付近も撮影できることが分かったのでやってみました。庭先での撮影なので、「外出」とは言えませんが。。(彼岸花星雲の撮影のため近くに外出した次の日です)

まずは、北天最大の球状星団M13

ヘルクレス座の大球状星団M13

<1枚目諸元>

●機材:
ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII ,
CBPフィルター , IR Cutフィルター , AM5赤道儀  , QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
●支援ソフトウェア:
 ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによる撮影 ,PHD2による2軸オードガイド 
 , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
●撮影地:神奈川県茅ヶ崎市自宅庭先
●撮影日:2023/7/25(火)
●撮影条件:Gain200 , センサー温度 -5℃ ,120sec x 20コマ(総露光時間40分)
●編集:
 PixInsightで加算平均合成後トリミング(フルサイズ換算*1焦点距離1907mm相当)等

満月の3分の1ぐらいの直径があるだけあって、見事な外観です。中心部がなるべく白飛びしないように編集してみましたが、どうでしょうか。北北東近くにある銀河も入れてトリミングしてみました。

アノテーションを入れた画像が下記です。視直径は10' ぐらいだそうですが、まばらな所も含めて、この画像からは直径17' ぐらいあることが分かります。星団内の全体彩度を上げて赤い恒星も分かる様にしてみました。NGC6207も写っています。

M13のアノテーション

次の写真は、こぎつね座の有名な亜鈴状星雲M27です。

こぎつね座の亜鈴状星雲M27

<2枚目諸元>

●機材:
ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII ,
CBPフィルター , IR Cutフィルター , AM5赤道儀  , QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
●支援ソフトウェア:
 ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによる撮影 ,PHD2による2軸オードガイド 
 , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
●撮影地:神奈川県茅ヶ崎市自宅庭先
●撮影日:2023/7/25(火)
●撮影条件:Gain200 , センサー温度 -5℃ ,120sec x 11コマ(総露光時間22分)
●編集:
 PixInsightで加算平均合成後トリミング(フルサイズ換算焦点距離4000mm相当)等

2023/3にEOS RPで撮影した、とも座の散開星団M46,47の写真に、NGC2438という視直径1.1' しかない小さな惑星状星雲が写り込んでおり、惑星状星雲は短時間露光でも以外と写るのだと思っていました。SharpCapのリアルタイムビューや試し撮り画像をfits viewerでストレッチ表示した画像を見ても、この事は間違っていない事を確信し、今回のM27は総露光時間22分と比較的短時間にしました。

天頂付近なので光害の影響が少なかったとは言え、7cm f6鏡でここまで捉えられるとは正直思っていませんでした。結構感動的でした。PixInsightのDeconvolutionもうまくいき、stfストレッチ後マスクワークとカーブ補正で星雲内部の輝度を下げて、カーブ補正をうまく行うと、内部構造が浮かび上がりました。露光時間を上げてどこまで内部構造のコントラストを上げられるかを次回は試したいです。

下記がアノテーション画像です。

M27のアノテーション

視直径は7'とされており、確かに7' ぐらいに見えます。このサイズの天体でこれぐらいの露光時間で内部構造が分かるのは、カラフルな惑星状星雲ならではだと思います。系外銀河ではこうはいきません。

そして最後は、こと座の超有名な惑星状星雲M57です。この天体はドーナツ星雲という名称で有名です。

こと座のドーナツ星雲M57

<3枚目諸元>

●機材:
ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII ,
CBPフィルター , IR Cutフィルター , AM5赤道儀  , QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
●支援ソフトウェア:
 ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによる撮影 ,PHD2による2軸オードガイド 
 , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
●撮影地:神奈川県茅ヶ崎市自宅庭先
●撮影日:2023/7/25(火)
●撮影条件:Gain200 , センサー温度 -5℃ ,120sec x 10コマ(総露光時間20分)
●編集:
 PixInsightで加算平均合成後トリミング(フルサイズ換算焦点距離8200mm相当)等

トリミングで強拡大しているので、画像ファイルサイズが小さく、はてブロの画像貼り付けエリア幅より小さくなってしまいました。所有機材による撮影限界を感じさせる写真となりましたが、それなりに天体を表現できているとは思っています。いつものようにcrop前のリニア画像でPixInsightのDeconvolutionを試みたのですが、なぜかうまくいかず、条件を見つけられませんでした。Wavelet変換を使用した特徴抽出を行う処理一般に言えると思うのですが、*2Deconvolutionは特に条件出しが難しく時間がかかります。あまり時間がかかると今回みたいに途中であきらめてしまいます。このDeconvolutionの条件出しをAI学習機能を使用して大幅に自動化したBlurXTerminatorというプロセスが販売されているそうです。お試し版で試してみたいと思っています。

下記がアノテーション画像です。ちょっと見にくいですが、縦方向の1マスが5' ですので、天体の直径は1' ほどです。M27の1/7程度ということになります。

5' も離れていない距離にあるIC1296という視等級14.3等の暗い銀河も、構造は良くわからないけど写っています。冷却CMOSカメラの実力はすごいです。

M57のアノテーション

 

*1:この表現はブログを通して全て「EOS RPセンサーサイズ換算」

*2:すいません。間違いでした。Deconvolutionはその単語の通り「逆畳み込み」というアルゴリズム型の処理で元データをモデル化して復元するものです。Wavlet変換を用いた特徴抽出とは異なります。考えずにただ便利に使ってしまっている事がバレバレです。。天ガ7月号の記事で気づきました。