楽しい記憶

天体写真や花鳥風月の写真など

毒針の先の2つの散光星雲

2023年の関東地方では、7/22(土)に梅雨明けが発表されました。

次の日の7/23(日)夕方の時点で雲がほとんど無かったので、いつものように近くの農道に出撃。PoleMasterを使って極軸合わせを行った後、色々手間取ってしまい、目的だったさそり座の猫足星雲を導入できたのが9時頃。子午線越えまで10枚ぐらい撮れるかと思い撮影開始するも、予測が甘く、2枚撮影した時点で子午線越えしたため、例によってガイド不能状態に。

復旧させてから、撮影再開しようと思ったら、え?南の空が雲だらけ。。しょうがないので車中で夕食のコンビニ弁当を食べて様子見としたのですが、状況は悪くなる一方で、結局撤収を余儀なくされました。やはりこういう時はへこみます。

そして次の日の7/24(月)の夜は快晴。最初少し南風が有るものの問題ないレベル。月齢6.7の月はスピカの西で22:17に沈む予報なので、さそり座近辺の天体への影響は小さいと判断し、また出撃しました。家から近いので平日でもテレワークの日は出撃します。

この日は、さそり座の尻尾先端の毒針の先にある2つの散光星雲を撮影しました。これらの星雲は、南天低く上に位置している彼岸花星雲でも南中時の高度は約20°ぐらいのため結構難しい天体です。高い位置で撮影したいのでなるべく南中時刻前後で撮影することと、月の影響が少なく南天の光害が少ない場所を選ぶ事が必要となります。光害地とはいえ、この場所は南は比較的光害が少ないと言えます。多分海の方角だからでしょう。子午線を超えた直後から撮影開始しました。

まずは、猫足星雲(NGC6634)から。

猫足星雲(NGC6634)

<1枚目諸元>

●機材:
ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII ,
QBPフィルター , IR Cutフィルター , AM5赤道儀  , QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
●支援ソフトウェア:
 ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによる撮影 ,PHD2による2軸オードガイド 
 , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
●撮影地:神奈川県茅ヶ崎市自宅近く農道
●撮影日:2023/7/24(月)
●撮影条件:Gain200 , センサー温度 -5℃ ,120sec x 30コマ(総露光時間60分)
●編集:
 PixInsightで加算平均合成後トリミング(フルサイズ換算焦点距離840mm相当)等

猫足星雲(Cat's Paw Nebula)とは海外での呼び名で、日本では「出目金星雲」なのだそうですが、猫好きにとっては猫足星雲です。肉球部分が良く表現できました。周りの淡いガスも写っているのですが、印刷するとほとんど見えなくなってしまいました。南天低いのでやはり街の公害の影響が有りましたが、PixInsightのABEで何とか取り除けました。

そして、次は彼岸花星雲(NGC6357)。海外ではロブスター星雲だそうですが、これは間違いなく彼岸花です!

彼岸花星雲(NGC6357)

<2枚目諸元>

●機材:
ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII ,
QBPフィルター , IR Cutフィルター , AM5赤道儀  , QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
●支援ソフトウェア:
 ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによる撮影 ,PHD2による2軸オードガイド 
 , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
●撮影地:神奈川県茅ヶ崎市自宅近く農道
●撮影日:2023/7/24(月)
●撮影条件:Gain200 , センサー温度 -5℃ ,120sec x 30コマ(総露光時間60分)
●編集:
 PixInsightで加算平均合成後トリミング(フルサイズ換算焦点距離840mm相当)等

暗黒部と赤い星雲部分のコントラストも良く表現できたと思っています。公害ムラは猫足星雲同様ABEで除去できました。

これらの星雲は、月の影響が少ない良い状態で撮影できる最後のチャンスだと思って、ぜひ成功させたいと思っていました。撮影前は、光害まみれになってしまうことを危惧していたのですが、思ったより良かったので自己満足しています。

赤道儀をAM5に変更してからは、一旦極軸を合わせてしまえば、撮影中に「追尾精度」を気にする必要が無く、ほんと楽になりました。

最後に星座と今回の2天体の関係を示しておきます。

さそり座の毒針部分(ステラリウムより)