楽しい記憶

天体写真や花鳥風月の写真など

洞窟星雲と有名な2重星団

今回は自宅庭先(庭の前の駐車場に止めてある車の前のスペース)で2023/10/16に撮影した天体写真を紹介します。最近その手軽さから庭先撮影が多くなってきました。これからの寒い季節ますますそうなるかも。

洞窟星雲

まずはケフェウス座の東部に広がるマイナーな星雲です。その名は洞窟星雲 sh2-155。シャープレスカタログ(Sharpless catalog, 略号:Sh2)で155番が採番されています。この星雲、輝線星雲や反射星雲、暗黒星雲の複数からなる大変大きな星雲です。カシオペア座ケフェウス座は、日本では沈まない周極星座ですが、観測しやすいのはこの時期の秋から冬にかけてです。

下記が仕上げた洞窟星雲写真です。

洞窟星雲(Sh2-155)

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII ,
    IRCutフィルター,QBPフィルター , AM5赤道儀  ,
    QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 ,
    SharpCapによる撮影 ,PHD2による2軸オードガイド 
     , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅庭先
  • 撮影日時:
    2023/10/16(月)20:55 ~ 23:33
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -5℃ 
    120sec x 85コマ(総露光時間170分)
    月出無し
  • 編集:
     PixInsightで加算平均合成後トリミング
    (フルサイズ換算焦点距離1230mm相当)等

見ごたえがある大きな複雑な構造をそれなりに表現できましたが、もう少しS/Nを上げたかったです。

星雲の名前の由来は、複数の暗黒帯構造が洞窟マップに見えるからだと思っていたのですが、そうでは無く中心部左の暗黒帯が洞窟なんだそうです。私には今一ピンときません。

下記がアノテーションを入れたものです。

直径60'以上あるエリアに大きく星雲が広がっているのがわかります。PixInsightのアノテーションだと、LBN(Lynds' catalog of Bright Nebula)カタログの529番とかなり重複しています。

右下に反射星雲VdB155があり、下部の方にはハービック・ハロー天体の168番が写っていますが構造までは判別できません。ハービック・ハロー天体は星形成領域の周縁部に見つかる拡がった星雲状の天体で、光学ジェットと呼ばれる現象により発生するため、その構造が大変おもしろい天体です。下記はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラでとらえたHH 211です。HH 168の写真はネットでは見つかりませんでした。

astropics.bookbright.co.jp

ちなみに天体カタログについては、一覧化されたわかりやすいHIROPONさんの記事を見つけました。

hpn.hatenablog.com

h-χ

次は、ペルセウス座の有名な2重星団h-χ(NGC884,NGC869)です。この散開星団は、私の使っている小型双眼鏡(Mizar 8x40)でも観察できます。プレアデス星団や、カニ座のプレセペ星団に並ぶ美しい星団です。

h-χ星団(NGC884,NGC869)

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII ,
    IRCutフィルター,QBPフィルター , AM5赤道儀  ,
    QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 ,
    SharpCapによる撮影 ,PHD2による2軸オードガイド 
     , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅庭先
  • 撮影日時:
    2023/10/17(火)00:03 ~ 00:25
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -5℃ 
    120sec x 12コマ(総露光時間24分)
    月出無し
  • 編集:
     PixInsightで加算平均合成後トリミング
    (フルサイズ換算焦点距離1310mm相当)等

もう少し露光時間を増やせばもっと星の数が増やせたと思います。それでも美しさは伝わると思っています。下記がアノテーション入り写真です。

h(NGC884)とχ(NGC869)の見かけの中心点距離は、およそ30'というところでしょうか。地球からどちらも約7300光年くらいの距離で、実サイズはどちらも77光年ほど。となると、中心点の実距離は75光年ほどでしょうか。生まれてからまだ450万年しか経っていない若い星団だそうです。

上部左から2/3ぐらいに写っているのが、ペルセウス座κ星ミサム・アル・トュラッヤ、左下にはペルセウス座10番星(変光星)が写っています。

ペルセウス座と言えば、誰でも聞いたことがあるペルセウス座流星群。しぶん儀座流星群、ふたご座流星群とともに3大流星群と呼ばれています。ペルセウス座流星群は、γ星付近に放射点があり、毎年お盆の8/13日頃の極大日には、条件が良ければ80個/時間ぐらいの流星を観測できます。

下記は、ステラリウム上で、ペルセウス座カシオペア座ケフェウス座周辺の星座絵付画面をスクショしたものに、追記した図です。

ペルセウス座カシオペア座ケフェウス座