8月に大洗キャンプ場で28分間露光したアンドロメダ銀河が、予想に反して良かったので、それでは茅ヶ崎で満足のいく写真にするにはどれぐらい露光すれば良いか確認したいと思っていました。
その前の7月にも茅ヶ崎市の農道で、お試し撮影していましたが、なんとも表現力に乏しい写真になりました。この時は、34分間露光しました。(下記)
そして、10/17の夜大幅に露光時間を増やして、自宅庭先で撮影しました。
下記が仕上げた写真です。
<諸元>
- 機材:
ASI294MCPro ,
BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII ,
CBPフィルター , IR Cutフィルター,
AM5赤道儀 , QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡 - 支援ソフトウェア:
ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによる撮影 ,
PHD2による2軸オートガイド ,
ASI Mount Serverによる赤道儀連携 - 撮影地:茅ヶ崎市自宅庭先
- 撮影日時:2023/10/17(火) 19:47~2023/10/18(水)00:09
- 撮影条件:
Gain200 , センサー温度 -5℃
120sec x 74コマ(総露光時間148分) - 編集:
PixInsightで加算平均合成後トリミング
(フルサイズ換算焦点距離827mm相当)等
8/15の写真と比べて全体的なS/Nが向上し、細部構造の色コントラストも大洗の写真より向上しました。露光時間は、28分から148分と5倍以上。正直もっと良くなることを期待していましたが、甘くないようです。
自宅だと手軽に撮影できるのですが、この天体は電線通過待ちが発生します。20:30から21:30ぐらいまでは電線通過待ちで撮影不可となりました。そして途中子午線越え。でもこれらの障害にはだいぶ慣れたので、最近ではあまり苦にならなくなりました。
今回は、ムラ補正に苦労しました。いつものPixInsightのABEで補正したのですが、光害ムラを補正すると銀河周りが黒く落ち込んでしまいます。この現象は銀河で良く起こります。この場合バックグラウンドモデルパターンを生成する関数の次数を下げるのですが、下げすぎると肝心の光害ムラが残ってしまいます。この傾向は明るい銀河ほど強く出るのかもしれません。結局次数は1次まで下げ、若干のムラが残った状態で妥協しています。
それと、最後にHDRMTで銀河中心部の明るすぎる部分を減じて中心付近の構造を浮かび上がらせる処理をしますが、アンドロメダ銀河のようにもともと中心が大変明るい画像だと、パラメータの「レイヤー数」をどの値にしても真ん中の輝度落ち込みにより穴が開いたような状態になります。これを解消するためにPixMathでHDRMT適用前と適用後をブレンドします(前回丹羽さんに教えてもらいました)。今回もそうしましたが、「穴」の減光量が大きく、HDRMT後画像のブレンド比率を低めにせざるを得ませんでした。
なかなか奥が深い対象です。
見かけの大きさを検証するため一応アノテーション画像を作ってみました。
M31の範囲が大きくはみ出ています。上の水平ラインと下の水平ラインの間が90分なので、写真から銀河の長辺は120分ほどになりますが、良く「満月の5倍の大きさ」と言われ、満月の直径を約30分とすると、単純計算で約150分。つまり上下15分ぐらいの長さ分が切れています。今回の光学系の写野ではこれは仕方が無いのですが、この部分は大変淡いためほとんど表現できないことを見越して撮影しました。でも少し切れているのが分かりますね。特に北側部分。
次はもっと露光しないとだめかなあ。。でも平日だとこれ以上の露光は無理だし。今月還暦ですが、まだしばらくは仕事をやめられないので。