楽しい記憶

天体写真や花鳥風月の写真など

夏のキャンプ_M31とチュウシャクシギとアマサギ

2022年12月に天体写真を始めるまでは、ソロで月に1回ぐらいはキャンプに行っていました。神奈川県は有名なキャンプ場も多く、キャンプ人口もかなり多いです。キャンプは2022年の8月から始めて冬の装備も一通りそろえたのですが、天体写真に多くの時間を割くようなり、結局年が明けてからは1回も行っていませんでした。今回夏休みに入って2023年8月10日に久しぶりに会社の友人(いつもの友人夫婦)と3人で、天体撮影機材を積んで行ってきました。

場所は大洗キャンプ場。

www.oarai-camp.jp

大洗は友人N(奥様の方)の地元で、友人達は探鳥に来たことがある場所です。早めについたのでチェックイン前に、海岸の駐車場に車を止めてシギ類を探しましたが、波が荒いためか見つけられたのはウミウだけでした。

今回のキャンプ場は松林の林間サイトなので、全天開けた場所は全く有りませんが、アーリーチェックイン後、空いているサイト内を車で回り、なんとか比較的開けた場所にテントを設営することにしました。もちろん夜の天体撮影のためなのですが、真夏の林間サイトで、わざわざ日が燦燦と降り注ぐ開けた日向を選んでテント設営する人は他にはいませんでした。

熱中症ぎりぎりの状態で、休み休みテントとタープを張りました。愛用テントはコールマンのツーリングドームST、タープはTENT FACTORYのHi-TCウィングタープL。タープはTC素材なので遮光性能が高く、小川張りでテントを全てタープ下に収めて、さらに前室空間を作る事ができます。タープさえ張ればどんな日差しも大丈夫です。テントはインナーのみにしたので、前後の大きいメッシュ窓により風が通り夜は結構快適でした。

テント設営後は近くのスーパーに食材の買い出しに行ったり、3人で食事をしたり、楽しく過ごしました。

太陽が沈んでからは、北極星は導入できないものの、南天・天頂付近・北東の星が何とか見える場所を見つけて、天体撮影機材を設置。いつものようにphd2を使って1時間ぐらいかけてDAを行い、望遠鏡は自動導入でM27を導入。バランスウェイト用シャフトに取り付けたビクセン製雲台(今回初使用)+ボール雲台に乗せた EOS RPには、70-300mmズームレンズを載せて白鳥座を導入しました。

この状態で、友人夫婦のティピーテント内に入って3人でM27を電子観望しながら、スマホによるEOS RPの手動操作で白鳥座を複数枚撮影して、白鳥座撮影が終了したら色々な天体の電子観望を楽しむという目論見でした。何事も初めての試みはうまく行かないもので、機材制御用ノートPCに接続したWifiアクセスポイント経由で、テント内のノートPCから撮影・制御するのですが、開始後すぐにリモート接続画面がフリーズ、そして接続断。Wifi電波が安定せずどうにもなりませんでした。機材設置場所は、ティピーテント内から15mほど離れていたのが原因だと思います。アクセスポイントの位置も地面すれすれという低い位置でしたし。。

しょうがないので機材周囲に3人集まって電子観望する事にしました。この時点で既に結構な時間を費やしていました。やろうと思えばEOS RPの撮影は継続できたのですが、第一の目的が友人達に電子観望を体験してもらうことだったので、EOS RPのスマホ撮影は最初の1枚だけ(しかも30秒だけ)にして、電子観望に専念。M27、M57、M31と次々に簡単に自動導入する操作を見て、スカイメモSWを使用している友人T(旦那)は大変驚いていました。M31が浮かび上がったところで友人Nの体調が悪くなったため、友人達はテントへ。

その後、条件が良くなったM31を撮影しました。1時間以上やるつもりでいたのですが、雲により結局撮影できた総露光時間は28分だけ。でも今回のM31は良い出来だと自己満足しています。下記がその写真です。

アンドロメダ銀河(M31)

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro ,
    BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII ,
    CBPフィルター , IR Cutフィルター,
    AM5赤道儀  , QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによる撮影 ,
    PHD2による2軸オートガイド  ,
    ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:茨城県大洗キャンプ場
  • 撮影日時:2023/8/10(木) 22:50~23:38
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -5℃ 
    120sec x 14コマ(総露光時間28分)
  • 編集:
     PixInsightで加算平均合成後トリミング
    (フルサイズ換算焦点距離827mm相当)等

前回は、東のかなり低い位置での撮影でしたが、今回は結構高度が上がってからの撮影だったことと、何より暗い場所だったことが良かったのだと思います。結露によるシミも無く、若干の光害ムラもきれいに補正できたので、マスクワークもうまくできました。リニアフェーズではBXTを使いました。今までデフォルト設定しか使っていなかったのですが、今回は星が小さくなりすぎないようにsharpenを少し小さい値(=0.15)にしました。

それと最後に、中心部分を小さくし周りの構造を強調するために初めてPixInsightのHDRMTを使いました。HDRMTは「PixInsightの使い方 基本編」でも紹介されているのですが最初どうしてもうまく行かず(中心部に穴が開いてしまう)悩んでいました。そして昨日、著者である丹羽さんの個展「時空を超えた贈りもの ー宇宙は不思議で美しいー」で、厚かましくもご本人に質問したところ、HDRMTをかけていない画像とかけた画像をpix mathで混ぜると良いと教えていただき、さっそく本日実施すると大変うまく行きました。この場を借りて感謝です。ありがとうございました。

時空を超えた贈りもの ー宇宙は不思議で美しいー」は大変すばらしい個展でした。出展数は決して多くは有りませんが、その一枚一枚がどれも迫力満点で、引き込まれる作品ばかりでした。A1サイズやA0サイズの作品もあり、写真展など見に行ったことが無い私にとって衝撃的でした。ちなみに私は、自分で撮影した天体写真をA4サイズでプリントアウトして部屋に飾っています。

星を完全に消してモノクロにした大パネルの「ほ座の超新星残骸(≒ガム星雲)」。これは完全にアート作品です。実サイズが950光年もある星雲が、人間の体内(去年人間ドックで撮影してもらった頭部MRA画像にも見えた)のように見えてくる不思議な錯覚を覚えました。

丹羽さんのお人柄か、どんな人にもきちんと優しく作品の説明をされていました。私の稚拙な質問にも答えていただきました。最終日だったのですが、私達3人がいた時間帯は、他の見学者が絶えることは無く盛況でした。また個展を開催されることが有れば必ず伺いたいと思います。

キャンプの話に戻します。下の写真は、キャンプ場で30秒1枚だけ露光した白鳥座の写真です。

白鳥座の一部

<諸元>

  • 機材:
    EOS RP hkir改造 , EF70-300mm(f4 , 70mm), 
    AM5赤道儀  , QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    PHD2による2軸オートガイド  ,
    ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:茨城県大洗キャンプ場
  • 撮影日時:2023/8/10(木) 21:08
  • 撮影条件:
    ISO感度400 , 33.5sec x 1コマ
  • 編集:
     PixInsightでDebayer後トリミング
    (フルサイズ換算焦点距離89mm相当)等

松の枝が写り込んでいたのでトリミングで除きました。編集には結構苦労しましたが、デネブからサドル方向の天の川や北アメリカ星雲もまあまあ写っています。空が暗いと簡単に写るんですねえ。星座の形状が分かりにくいので、アノテーション付き画像もアップしておきます。

白鳥座の一部_アノテーション付き

キャンプ2日目は、11時にチェックアウトして、再度海岸を車で流していると、明らかにシギを発見。車を路肩のスペースに止めて初めて撮影することができました。

チュウシャクシギキアシシギ

チュウシャクシギ

波が洗っている荒々しい磯場の高い所に集団でいたチュウシャクシギです。キアシシギも1羽混じってました。どちらも旅鳥ですが、チュウシャクシギは3人とも初めてだったので興奮気味でした。

次はアマサギを探しに田園地帯へ。ここでは初めてアマサギをたくさん観察することができました。

亜麻色と白色のアマサギ

飛び立つアマサギ

歩くアマサギ

アマサギって繁殖期に亜麻色になる事で有名なんですが、明らかに白色のみのアマサギもたくさんいました。最初の写真はたぶん両方アマサギです。

当然ダイサギもたくさんいました。アマサギコロニーも観察できました。

 

今回は天体写真と野鳥写真両方登場し、盛りだくさんな内容でとっ散らかってしまいました。でもキャンプはやっぱり良いですね。またキャンプでの野鳥写真や天体写真を紹介したいと思います。