楽しい記憶

天体写真や花鳥風月の写真など

白鳥座の超新星残骸

今夜もなかなか良い天候なので近所の農道に出撃予定です。今日の第一の目的はPole Masterの実力把握です。この記事はまた今度。

今回紹介する作品は、昨日2023/7/16(日)に庭先で撮影した、白鳥座網状星雲(超新星残骸)です。庭先で白鳥座が見えることが分かっていたので、狙ってみました。下記が仕上げた写真です。

白鳥座超新星残骸

<諸元>

●機材:
ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用0.8xレデューサーII ,
CBPフィルター , AM5赤道儀  , QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
●支援ソフトウェア:
 ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによる撮影 ,PHD2による2軸オードガイド 
 , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
●撮影地:神奈川県茅ヶ崎市自宅庭先
●撮影日:2023/7/16(日)~2023/7/17(月)
●撮影条件:Gain200 , センサー温度 -5℃ ,120sec x 30コマ(総露光時間60分)
●編集:
 PixInsightで加算平均合成後トリミング(フルサイズ換算焦点距離673mm相当)等

今回も、PixInsightで小さい星の輝度を下げる処理をしています。この星雲は白鳥座イプシロン星アルジェナーの南にあり、網状星雲という名で有名です。約1万5千年前に写真中央付近で起こった超新星爆発が起源だそうです。ひらがなの「い」の左と右で、面白い赤と緑色の絡まり具合が表現できました。もっと露光を増やせば中央付近の縦の緑色の網が浮かび上がるかもしれません。

白鳥座(ステラリウムより)

ひらがなの「い」の字の左NGC6992、右NGC6960以外にも複数の番号が定義されています。下図は、上の写真に、PixInsightのAnnotateImage Scriptを使って座標線と天体名を入れたものです。

網状星雲の天体配置

「い」の字の右NGC6960は、白鳥座(Cygnus)52番星の至近に有る事がわかります。こんな分かりやすい図がPixInsightでは簡単に作れてしまいます。このソフトウェアはほんと購入して良かったと思っています。やり方はここを参照しましたが、ImageSolver Scriptによるプレートソルビングに成功していれば、驚くほど簡単です。

今回苦労した点は、電線カブリです。電線の間で撮影できそうだったので開始したのですが、やはり途中で電線がカブってきて、合計2時間ぐらい電線通過待ちとなりました。これにより撮影は日を跨いでしまいました。

前回・前々回も起きている、例のASI Mount Serverの「Track」チェックがいつのまにかはずれる件ですが、今回の撮影でも発生しました。電線通過後ようやく再開して数枚で直ぐに発生。復旧方法はわかっていたので、AM5の電源OFF/ONした後ホームポジションに戻してから自動導入のやり直し。自動追尾しながら電線通過を待っている間に、子午線を超えていたので最初の望遠鏡位置とは逆になりました。カメラ写野は180°逆になりますがPixInsightのIntegrationは問題ありませんし、スタック後の画像をRotateで回転できるので特にカメラの回転は行わずに構わず撮影再開し、無事に予定の30枚完了しました。

子午線越え..?ひょっとしたらと思い、この記事を書く前に調べてみると、同じトラブルを経験した方がいました。その方は実験により「子午線から1度過ぎたら、赤道儀側が安全装置としてトラッキング停止させる」と結論付けたようです。なるほど!思えばどの天体も子午線越えした後にこの現象が発生していました。これで間違いないと思います。それにしても、赤道儀を守るための仕様なのであれば、上記の方も言及していますが、警告ダイアログを出すとか、警告音を出すとかすればいいのに。。

次回からは、子午線越えする前に自動導入をやり直す事にします。前提としては子午線越えはなるべくしないように計画した方が良いですが。