また再編集ネタです。さんかく座の回転花火銀河M33と洞窟星雲です。
M33
過去同一光学系で撮影した全てをスタックしてみました。下記がその写真です。
<諸元>
- 機材:
ASI294MCPro, BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII ,
IRCutフィルター,CBPフィルター Ⅲ, AM5赤道儀 ,
QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡 - 支援ソフトウェア:
ステラリウムによる自動導入 ,
SharpCapによる撮影 ,PHD2による2軸オードガイド
, ASI Mount Serverによる赤道儀連携 - 撮影地:
①神奈川県茅ヶ崎市自宅庭先
②神奈川県茅ヶ崎市自宅近く農道
③神奈川県茅ヶ崎市自宅近く農道 - 撮影日時:
①2023/9/10(日)01:13 ~ 2023/9/10(日)01:33
②2023/9/12(火)21:49 ~ 2023/9/12(火)23:56
③2023/9/17(日)20:34 ~ 2023/9/17(日)23:13 - 撮影条件:
Gain200 , センサー温度 -5℃
120sec x 142コマ(総露光時間284分)
(①11②62③69) - 編集:
PixInsightで加算平均合成後トリミング
(フルサイズ換算焦点距離2620mm相当)等
今回は90°回転してあります。上が東、右が北です。なんかこの方が銀河が立体的に見える気がするんです。人によって違うとは思いますが。。
前回(①と②をスタック)の写真に比べると腕の構造が良く写っています。
でも総露光時間284分ですからねえ。もっと良くなっても良いと思うのですが、Nレベルが大きすぎですね。今後ナローバンドフィルターを検討しようと思っています。それと苦労したのは、3日とも結露と思われる若干のシミが写り込んでおり、スタック後異なる場所に浮かび上がりました。時間をかけて各シミ用のマスクを作ってカーブ補正で取り除きました。
それと最近は、デノイズ処理にまじめに取り組んでいます。TGV Denoiseを使っていますが、今までパラメータ設定は正直テキトーでした。強度以外はいつもデフォルトで、強度スライドバーを弱めにして、何回も適用するというやり方でした。今は、Edge Protectionに、Statisticsプロセスで測定した標準偏差の値を使用しています。Edge Protectionの重要性には、野鳥写真のデノイズをTGV Denoiseでやっていて気づきました。
洞窟星雲(sh-155)
次は洞窟星雲です。S/Nが低いので星雲と星をstarnet2で分離してから星雲写真を強調・デノイズを行おうとしたのですが、最後の星雲と星画像の合成がうまくいかず諦めていました。ところがいつも拝読させていただいているChisakariさんの記事で知った「Screen Stars」スクリプトを使用したところあっさりうまくいったので、これを使用しました。
<諸元>
下記と同じ
このスクリプトは、RGB画像から星雲画像を引いて星のみの画像を作る事と、星のみ画像と星雲画像を合成して、RGB画像を作る事ができます。今回はstarnet2で作った星雲画像と、星のみ画像をそれぞれ処理した後に「Screen Stars」を使って最後に合成しました。簡単なのでビックリです。
彩度アップ、強調、デノイズ処理を全て星雲のみの画像に対して実施できたので、よりシャープな画像になったかと思っています。
それと、最近はリニア段階の色合わせにPCCでは無くSPCCを使用していますので今回の再編集でもそうしました。QBPを使うと色合わせ後のカタログDBとの相関グラフで、総じて相関値低くなるのが気になっているからなのですが、実際のところ違いは良くわかっていません。
洞窟星雲の再編集処理フローを書き留めておきます。
WBPP→ABE→SPCC→starnet2 :①
<①の星雲画像>
L画像に対してBXT
↓
元RGB画像とBXT後のL画像をLinearFitで輝度合わせ
↓
元画像をstfストレッチ(RGB2)とL画像をstfストレッチ(L2)
↓
RGB2のL画像Lc2とL2をLinearFitで輝度合わせ
↓
上記輝度合わせしたL2画像をRGB2にLRGBコンビネーションで合成(NEB1)
↓
rangeselectionによるマスク生成後彩度増加・強調・デノイズ処理
<①の星画像>
Histgramストレッチ(RGB1)
↓
L画像に対してBXT(L1)
↓
L1をRGB1のL画像Lc1にLinearFitで輝度合わせ
↓
RGB1にL1をLRGBコンビネーションで合成(STAR1)
↓
ColorSaturationで彩度増加
<合成>
NEB1とSTAR1をScreen Starsスクリプトで合成