お盆前の金曜日土曜日と、埼玉県の実家に2泊して1人暮らしの母親と過ごした後、大渋滞の中茅ヶ崎に帰ってきた後は、暑さで外出する気にもなれず、日々ぐったりしているのですが、夜晴れると庭で蚊と闘いながら天体撮影を行います。
我が家は車1台分の駐車場と家との間に南東向きの小さな庭があり、日本芝を貼って駐車場との境界には手作りのラティスフェンスを設置しているのですが、雑草は伸び放題、ラティスフェンスはボロボロ状態。この雑草&芝生の上に望遠鏡を出しています。でもこれももう少しの辛抱。思い切って人工芝にしてしまうことにしました。フェンスも既成の木目調のものに交換します。工事中は望遠鏡出せないかも。。
撮影・編集結果
今回も初撮影の天体です。こぎつね座のsh2-86という散光星雲です。この天体、特に名前が付いてないようです。8/12(月)に雲と格闘しながらなんとか26枚撮影し、Integrationしたところ、S/N足りなすぎだったので8/13(火)に撮り増ししました。かなり淡い星雲です。
<諸元>
- 機材:
ASI294MCPro , R200SS(D=200mm,f=800mm)+コマコレクター,
QBPIIIフィルター ,
AM5赤道儀 ,QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡 - 支援ソフトウェア:
ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによるアライメント,
APTによるピント調整支援、GOTO++、ディザリング撮影 ,
PHD2による2軸オードガイド , ASI Mount Serverによる赤道儀連携 - 撮影地:
神奈川県茅ヶ崎市自宅庭 - 撮影日時:
2024/08/12(月)22:36 ~ 2024/08/13(火)01:49
2024/08/13(火)21:23 ~ 2024/08/13(火)23:54 - 撮影条件:
Gain200 , センサー温度 -5℃
240sec x 56コマ(露光時間224分) - 編集(PixInsight):
FBP/ABE/SPCC/SXT/BXT/GHS等
フルサイズ換算1840mm相当にトリミング
中心部左に横に伸びる暗黒帯と星雲周囲の淡い部分の構造も一応描写できました。月齢8前後の月が有る茅ヶ崎の空で、この露光時間で良く描写できた思っています。後2時間も露光すれば、荒さがかなり解消できる気がします。
ちなみに、下記は4分間撮って出し(cropもしてません)1枚画像です。fits viewerでオートストレッチ表示したものです。星像が悪くて恥ずかしいのですが、星雲はほんと淡いです。ちょっと見には、散開星団しか写っていないように見えます。
下記はアノテーションを入れた画像です。中心部の星雲を伴う散開星団NGC6823の周りの星雲全体にはシャープレスカタログでsh2-86という番号が振られれています。
視直径だと40'ほどある大きな星雲ですが、淡いのでマイナーな天体です。創造の柱もどきは、もっと露光しないと解像感が乏しいですね。
東に16分ほどの近い距離に、有名な亜鈴状星雲M27が有ります。
R200SS関連
今回は2日ともに明るいうちに望遠鏡を出して、天頂付近に向けた姿勢で、センタリングスコープによる光軸調整を実施。2日目はさらに対象近くの輝星の前ピンと後ピン拡大画像を使って斜鏡ネジだけで、気持ち再調整しました。
でも前ピン、後ピンのぼけて丸く広がった星像は、少しいびつに見えます。光軸調整だけでは真円にはできないようです。
そして、ピント合わせ後の撮影画像は、あい変わらずのおにぎり型になりました。やはりこの原因はカメラ取り付け後の自重によるドローチューブ歪みが大きいと思っていまます。以前、南天だと軽減されると書きましたが、これは南天だとドローチューブは地面に対して垂直に近くなり、天頂付近だと水平になるからだと推測しています。
姿勢や運搬によってずれる光軸を、センタリングスコープによって精密に調整できるようになった事と、BXTによる強力な星像補正効果により、なんとか見れる写真にはなっています(?)。
編集苦労話(備忘録)
今回の苦労話は2つ。まずはGraXpert。いつものようにまずこのプロセスでムラ補正をやったのですが、ネット上にある写真と比べて、北東方向に、存在しないはずの赤い星雲が出現。正確には存在していないのでは無く、大変淡いものが、すごく強調されているような感じです。さらに星雲の西側半分がほとんど欠落したような状態になってしまいました。この事実は有る程度編集を進めてから気づいたので打撃が大きかった。。
このツール、PixInsightのプラグインでは無くて独立したプログラムも有り、それだと有る程度パラメータを調整できるのですが、PixInsightのプラグインではほとんどパラメータを調整できません。
そこで、久しぶりにABEを使いました。これだとうまくいきました。まだまだ万能なツールは無いのだと痛感。
次は、StarNet2。このツールで星画像と星雲画像を分離できます。私は、SPCCで色合わせ後のリニア段階で使うことが多いのですが、デフォルトで実行してうまくいく時も有るのですが、星画像側に「星雲のかけら」が残ったりします。これを軽減するためのパラメータ調整について下記で触れました。
でもこの方法はかなり難しく、最適解が見つからないことも多いのです。結局GAME Scriptを使ってピンポイントマスクを作って対処することをやったりします。
今回もこの現象が多く出てしまいました。そこでずっと気になっていたRC Astro社のStarXTerminatorお試し版を試してみました。すると、大変良い分離結果に驚き!!お試し1か月以内にもう一度他の天体で試してみたいのですが、多分間違いなく購入すると思います。