楽しい記憶

天体写真や花鳥風月の写真など

初めての直焦点撮影写真紹介

ようやく直焦点撮影した写真の紹介です。使用しているソフトウェアの紹介記事にしようかとも考えましたが、いっしょに記載してしまいます。

M42~ランニングマン星雲

何とかhkir改造が間に合って、初めて揃えた直焦点機材も届き、冬のオリオン座周辺の赤い散光星雲を撮影することができました。拙い天体写真ですが、まずはオリオン大星雲。

M42,43,ランニングマン星雲

<1枚目諸元>

  • 機材:
    EOS RP hkir , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用0.8xレデューサーII ,
    スカイメモSW , QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • ソフトウェア:
    PHD2による1軸オードガイド , BackYardEOSによる撮影
  • 撮影地:神奈川県茅ヶ崎市自宅ベランダ
  • 撮影日:2023/1/28
  • 撮影条件:ISO320 , 50sec X 10コマ(総露光時間8分20秒), ディザリング
  • 編集:
    sequqtorによる明るさ調整・加算平均合成   ,
    PaintShopPro7.04によるトリミング等

オリオン座と言えば大星雲。下からオリオン大星雲M42、M43、ランニングマン星雲です。以前の記事の暗い105mmカメラレンズによる写真(三ツ星からM42)と比べると雲泥の差です。しかも総露光時間8分20秒です。以前は総露光時間41分40秒だったことを考えると、やはり一番の違いは、hkir改造だと思います。もちろん光学系の違いもあると思います。

ランニングマン星雲はM42に比べると暗く両方を同時に収めると以外と編集が難しいことがわかりました。もっと総露光時間を増やせば滑らかな写真になると思いますが、この写真では公害カブリ・月の影響やノイズを除去しようとして、荒い映りになっています。でも「走っている人」が暗黒帯としてちゃんと判別できます。

木星雲~馬頭星雲

次の写真は、燃木星雲~馬頭星雲です。

木星雲(NGC2024),馬頭星雲(IC434,B33)

<2枚目諸元>

  • 機材:
    EOS RP hkir , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII ,
    スカイメモSW , QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • ソフトウェア:
    PHD2による1軸オードガイド , BackYardEOSによる撮影
  • 撮影地:神奈川県茅ヶ崎市自宅ベランダ
  • 撮影日:2023/1/29
  • 撮影条件:ISO200 , 160sec X 17コマ(総露光時間45分20秒), ディザリング
  • 編集:
    sequqtorによる明るさ調整・加算平均合成   ,
    PixInsightによるムラ修正とノイズ除去等(後日)

馬頭星雲が薄いですねえ。これ以上IC434部分を濃くしようとするとノイズだらけになってしまいます。良く見ると他にも突っ込みどころ満載で、燃木星雲の詳細構造も今いちだし、アルニタクの周りが赤くて気持ち悪いですね。でも初めて撮影した天体としては満足しています。馬の頭も判別できます。1枚目と2枚目は両日共に上弦の月が頑張っており、かなりその影響を受けています。最近導入したPixInsightにより再処理しましたが、これ以上は良くなりませんでした。

撮影に使用するソフトウェアについて

使用しているソフトウェアについて触れておきます。詳しい解説はリンクを張ったサイトを参照してください。

Back Yard EOS

まず撮影ソフトですが、EOS RPとUSBケーブルで接続したスティックPC上で、Back Yard EOSというソフトを使用しています。これはカナダの「O'Telescope」という光学機器商社が出しているソフトウェアのようです。有料ソフトで、Classic版で$35でした。$50のPremium版だと、2台のEOS制御やPlate Solvingができるようですが詳細は不明です。私は、このソフトウェアでPHDと連携したディザリング撮影を行っています。購入方法、使い方などは

tamanegioyaji0724.blog.fc2.com

を参照ください。ページの中に後編へのリンクが有りますので、そちらも参照してください。

PHD2

PHD2は、ガイドスコープの画面を表示して、そのままでは地球の自転により流れて行ってしまうガイド星を同じ位置に導入し続けるためのフリーのオートガイディングソフトです。

スカイメモSWは、オートガイド用のST4端子を備えており、赤経軸のみの1軸オートガイドができます。オートガイダーに添付されていたrj4プラグ付ケーブルを、スカイメモSWとオートガイダーに接続します。また、USBケーブルでオートガイダーとスティックPCがつながっており、PHD2によってオードガイダーにガイド信号を送信すると、オードガイダーがプロトコル変換してガイドパルスをスカイメモSWに送信するわけです。このパルスで、赤経方向の追尾動作を制御しているはずです。スカイメモの取説に記載されているピンアサインを見ると、右と左の接点とGND端子が有るので、例えば通常追尾用に右回し信号を出している最中に、モーター停止パルスをたまに出力するというような動作をしていると思われます。

スカイメモSWには極軸望遠鏡が搭載されており、北極星を導入する事により極軸を合わせられます。しかし南向きのベランダでは北極星は見えません。よってドリフト法という方法を使うのですが、その支援機能がPHD2というソフトウェアに有ります。これはドリフトアライメント(DA)という機能です。これを使えば、オードガイド前提で高精度の極軸合わせを行うことが出来ます。ただ精度を出すのに、1時間ぐらいはかかります。遠征時には極軸望遠鏡で合わせた極軸を実際の天体導入後に微調整するためにも使用しています。

PHD2の使用方法についてはこの記事が大変参考になりました。

Sequator

デジタルカメラで撮影した画像は、RAWファイルと呼ばれるカメラ固有のフォーマットによるバイナリファイルの形で取り出して、PC上で処理する事が出来ます。Squatorは、この複数のRAWファイルを、合成するフリーのソフトウェアです。合成以外にも色々な機能が有ります。主な機能は下記の通りです。

  • 加算平均合成
  • 比較明合成
  • 明るさ合わせ
  • ダーク減算処理
  • フラット補正

詳細な説明は下記を参照いただくとして、一般的に短時間撮影した画像ファイルをスタックすると言えば、加算平均合成のことを指します。sequatorはこの合成処理を他のソフトに比べて異常に早く行います。この早さゆえに今も使いますが、最近分かったことは、数日にわたって撮影した画像ファイルを合成しようとすると、合成後の星が点にならない事があるということです。おそらく日が変わると同じ対象を撮影しているとはいえ、若干の写野ズレや回転があるからだと思います。

www.photografan.com

ダーク減算処理はダークフレーム写真を使う処理です。ダークフレームは毎回対象天体の撮影後に天体と同数枚程度撮影します。これはキャップをして撮影した暗写真で、その時のカメラ固有の暗ノイズだけが写っています。これを天体写真の各画素・各色要素毎に減算して、カメラ固有ノイズを除去する処理です。

フラット補正は、像面湾曲収差などによって発生する光学系周辺減光を補正するために、減光パターンのみが写った写真を使って、各画素・各色要素の値に重みを付ける処理です。フラットフレームの撮影は結構大変で、私の場合は、ノートPCに表示した薄いグレー画像を望遠鏡の先端をモニターに密着させて撮影したものを使用しています。この画像でSequatorではうまくいくのですが、いまだにPixInsightのフラット補正には必ず失敗しています。

Paint Shop Pro

有名なあのソフトと紛らわしい名前ですが、Jasc Softwareのペイント系有料ソフトです。ウェブサイトやブログを書く時に昔から使っています。昔に購入したので、バージョンは7.04という古いものですが、Windows10でも動きます。合成機能は有りませんが、ペイント機能の他に様々な定番の画像処理機能(変形機能・ノイズ除去・ぼかし処理・・)、明るさ調整、コントラスト調整、ヒストグラム編集機能、カーブ補正機能が有ります。これらは、投げ縄エリア指定したエリア内だけにも適用できます。他には、レイヤー機能や画像輝度情報によるマスク生成機能なども有り、大変使いやすいソフトです。

この他に最近導入した、PixInsightが有りますが、この紹介はまた別途とします。