楽しい記憶

天体写真や花鳥風月の写真など

探鳥散策:真冬の相模川1

3連休初日である昨日の天皇誕生日は家で仕事でした。最近は仕事で集中し過ぎると体調が悪くなるので、2時間おきぐらいには必ず休憩を挟むようにしています。

家では休憩時窓を開けて外の空気を吸って鳥のさえずりに耳を澄ますのが好きです。必ずしも聞こえるとは限りませんが。。でも雨でしたねえ。最近は晴れていれば、ヒヨドリの声に負けずにオナガのさえずりが聞こえてきます。なぜか家の周囲はオナガが多いんです。

そして2日目の今日は晴れ。明日はまた雨模様との予報なので、車で朝から探鳥に出かけることにしました。全部で3か所廻って最終的にはスマートウォッチの万歩計は「14,873歩」でした。まずは最初の場所の記事です。

相模川沿いの散策ですが、いつもの平塚市ではなく、北上して初めて相模原市相模川沿いの公園まで行きました。この公園に車を停めて東側の相模川沿いを、9時頃から南下しながら散策。色々な野鳥を観察できました。

まずはセグロセキレイ

2024/02/24撮影 セグロセキレイ

2024/02/24撮影 セグロセキレイ

ここはフェンス越しの撮影となるのでなかなか難易度が高かかったです。川に設置しているテトラポットや石の上を動き回っていました。ようやくの初撮影です!次はカワラヒワ

2024/02/24撮影 カワラヒワ

この鳥は群れで枝に止まっていることが多いですね。

ここからは、フェンスも無くなり河原を散策する事ができました。最初に撮影したのはこれも初撮影のカシラダカ。撮影時は同定できず、ヒバリか?ベニマシコか?って感じでした。(早くもヒバリのさえずりが上空でたまに聞こえてました。)

2024/02/24撮影 カシラダカ

2024/02/24撮影 カシラダカ

散策を通じて「チッチ」と小さなさえずりが色々な方向の茂みの中からしていました。全部カシラダカだったのだと思います。

それとホオジロ。この鳥も小さくて可愛い鳥です。

2024/02/24撮影 ホオジロ

水辺に近い葦原の茂みにはメジロの小さな群れが飛び回っている所が有りました。

2024/02/24撮影 メジロ

戻ってきて再びフェンス越しに、今度は水鳥を撮影しました。まずは盛んに潜水採餌していたカンムリカイツブリ

2024/02/24撮影 カンムリカイツブリ

のんびりしていたキンクロハジロ

2024/02/24撮影 クンクロハジロ

そして、地味なオカヨシガモ。最初の写真は番でしょうか。いっしょに泳いでいたのでマガモのメスでは無いと思います。

2024/02/24撮影 オカヨシガモのオスとメス

こちらは、2羽とも背の灰色が目立つのでオスのエクリプスのようです。

2024/02/24撮影 オカヨシガモのオスのエクリプス

下の写真は、コガモのメスオカヨシガモのメスと違ってうっすらと淡い眉斑があります。それとカルガモマガモのメスよりも、くちばしの黒色が強いと思います。

2024/02/24撮影 コガモのメス

最後は、コガモのオスです。

2024/02/24撮影 コガモのオス

<初撮影>
セグロセキレイ
カシラダカ

 

<編集>

トールの兜星雲(NGC2359)をデュアルナローバンドフィルターで撮影

予告通りトールの兜星雲(NGC2359)を、3連休の2024/02/10,12の2夜にわたって撮影しました。淡い星雲なので4分/コマで2時間/日以上露光する計画を立てました。庭先からの撮影なので、電線カブリ前の23:30頃までの勝負となります。

この星雲は[OIII]線が比較的強く、hα線も放射している輝線星雲ですので、デュアルナローバンドフィルターで良く写ってくれるはずです。

初日は通して快晴でしかも新月。2時間順調に撮影完了。2日目は月齢2.2の細い月が20:20頃没する感じなので月光の影響はあまり無いはず。ところが途中雲が出現して短時間ですが雲通過待ちが有りました。また、久しぶりのリビングでくつろぎながらの撮影のせいか気が緩んでしまい、子午線反転後の1時間ぐらいの間、間違えて2分/コマで撮影してしまいました。つまり4分/コマと2分/コマが混在する事態です。

しょうがないので、いつものようにPixInsightでデフォルト設定のままWBPPを行って、できた2つのLight画像をHDRCompositionで合成しました。4分露光は初めてなのでダークフレームを21枚撮影しました。2分露光のマスターダークは使いまわしです。マスターフラットも使いまわしで、以前に同じ光学系(L-eXtremeフィルター+Drawer 付)で撮影した画像で生成されたものです。

下記が仕上げた写真です。

2024/02/10,12撮影 トールの兜星雲(NGC2359)

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用フィールドフラットナーII ,
    IRCutフィルター,L-eXtremeフィルター , AM5赤道儀  ,
    QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 ,
    SharpCapによる撮影とプレートソルビング ,PHD2による2軸オードガイド 
     , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅庭先
  • 撮影日時:
    (1)2024/02/10(土)20:58 ~ 23:38
    (2)2024/02/12(月)20:07 ~ 23:23
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -20℃ 
    (1)240sec x 34コマ(露光時間136分)
    (2)240sec x 21コマ(露光時間84分)
       120sec x 38コマ(露光時間76分)
    総露光時間:296分
  • 編集:
    PixInsightで加算平均合成後240sec,120sec 2つの画像をHDRCompositionで合成。ABEでムラ補正し、疑似AOO合成で色合わせした画像から星雲画像、SPCCで色合わせした画像から星画像を取り出し、各々BXTや彩度増加などの編集をしてから合成。トリミング(フルサイズ換算焦点距離1640mm相当)

西を上にした写真が、北欧神話のトール神がかぶっている角の生えている兜のように見えるのだそうです。この写真は上が北なので角は右方向です。中心の星は超高温且つ巨星のWR(ウォルフライエ)星で、超新星爆発一歩手前の星だそうです。この星との相互作用により電離された原子から様々な輝線スペクトルが届きます。OIIIとhα線のみを通すデュアルナローバンドフィルターと冷却カラーCMOSカメラで良く写ってくれました。兜の周りの淡い部分も意外と表現できました。

BXTによる高解像化のおかげで兜の構造が尖鋭化しました。下記は、240secのIntegration後の画像と最終画像の拡大です。兜の右側境界の幅を大まかに測定した結果を書き込んであります。左が10pxぐらいに対し最終画像では6pxとなっています。

左:Integration直後 右:最終画像(BXTによる効果)

思い切って仮に右の画像が兜境界の正しい幅と仮定すると、撮影により±2px程度のブレが生じたことになります。今回の光学系による視野角に換算すると、±4.52"(=2.26"/px × 2)程度となります。このブレの原因は何でしょうか。

ガイド精度は初日の方が悪く、±3~4"程度、2日目は±2"程度でしたので、ガイド精度の影響も当然あると思いますが、それだけでは説明がつきません。7cmという小口径望遠鏡では大気揺らぎによる影響はあまり無く*1、回折現象による光学系限界による影響が大きいと考えられます。7cm口径でレイリー限界値を算出してみると、OIIIで1.8"、hα・SIIで2.3-2.5"です。ゆえに私の光学系では、ガイド精度とレイリー限界値の両方による影響に支配されると言えると思います。このうち口径を上げずに撮影技術で低減できるのはガイド精度の方だけです。

でもAIを使った画像処理でかなりの改善が見込めるのが、嬉しい最近の最先端技術というところでしょうか。この画像処理により完全に正しい姿に戻っていると決めつけるのは難有りだと思いますが。というか、「趣味の写真」という観点ではそこまで考えなくても良いかって感じではあります。

それとこの画像、星の色が正しく無い気がしています。青色巨星である中心のWR星(HD 56925)が、赤に寄ってしまっています。いつものように星画像はSPCCで色合わせした画像から取り出しているのに。デュアルナローの影響でしょうか。フィルターに合わせてパラメータを変更できるようになっているのが気になっています。いつもデフォルト設定のままなので。今度きちんと調べてみようと思います。本当は星画像用のブロードバンド画像を撮影すべきなのですが、時間が。。

また、前述の通り今回は間違えて4分露光と2分露光のコマが混在してしまい、HDRCompositionで合成しました。対象が淡い星雲なので、Binarizing threshold値をS/N再優先で決めました。

下記はSubFrameSelectorのMesurements画面です。表中filename列の一番上のフレームが240s露光、2番目は120s露光のIntegration直後画像で、HDR_**というフレームは、これら2つの露光フレームをHDRCompositionで合成したフレームで、上から下にいくほど合成時のBinarizing threshold値を小さくしたものです。一番下のIndex9のフレームを採用しました。このフレームのBinarizing threshold値は0.05です(こんなに小さくして本当に良いのか不明。。)。

このフレームは他の合成したフレームよりFWHMとEccentricityが若干大きいものの、SNRが結構改善できています。Index9のSNRが優っているのはグラフを見ると一目瞭然です。

そもそも、WBPPのパラメータ設定で、最初から2種の露光時間によるLight画像を1つの画像に合成できるようなのですが、やり方がわかっていません。

下記は、アノテーションを入れた画像です。

ステラリウムによると見かけの大きさは10'×5'となっていましたが、周りの淡い部分も含めると20'×20'ぐらいの大きさがあることがわかります。

下記は位置を示す星座絵です。

ステラリウムより:NGC2359の位置と星座絵

 

*1:大気揺らぎの考察は、京都大学の補償光学に関する記事「http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~iwamuro/LECTURE/OBS/ao.html」を参考にしています

相模川沿いで撮影した野鳥たち

3連休初日の昨日は1日仕事するつもりでしたが、13時頃、近くに住む1人ぐらしの高齢の妻の母親から電話で、めまいと吐き気が酷く昨日から何も食べられないし、起き上がれないとの連絡。会話も困難な感じでした。近くの総合病院に電話で相談したところ、外来では受付まで時間がかかるので、そういう事情であれば病院の救急車を呼ぶべきかもとアドバイスを受けてから、母の元へ。

やはり立ち上がるのが困難なので、アドバイス通り病院専用救急車を手配。妻が病気と闘っている時も同様に呼んだことがあり、救急受付の待合廊下で長時間待機になることがわかっていたので、午後の仕事はあきらめました。色々な精密検査(CT・MRI)や点滴の後、救急担当医師の説明では、酷い末梢神経系のめまい症ということだそうです。脳その他に異常は無いとの事。幸いにも点滴・投薬により何とか少し回復し、夕方帰宅しました。今日の午後訪問してみると、吐き気は少なくなり、食欲も少し戻ったようで一安心です。

ところで昨日は新月でした。しかも快晴。おおいぬ座の天体を新月に撮る最後のチャンスと思っていたので、母を家に届けて帰宅後自宅庭先で、トールの兜星雲を2時間露光しました。電線カブリが発生するので23:30頃までの勝負です。また明日にでも追加2時間露光できればいいなあ。

そして今日は朝9時過ぎに馬入ふれあい公園へ。前回オオジュリンを初撮影したのですが「暫定」だった

webkoza.hatenablog.com

ので、ちゃんと撮りたくて行ってきました。でもオオジュリンは見つかりませんでした。

今日は風が結構強かったせいか、活動している野鳥の種類が少なかったと思います。それでもいつもの定番の可愛い鳥達には会えました。

花畑から離れて相模川沿いを北上する最初の開けた場所には、カワラヒワツグミの群れがいました。下の写真は、その時のカワラヒワの群れです。

2024/2/11撮影 カワラヒワ

鳥が逃げないようにゆっくりと進んでいくと、シジュウカラアオジ。最近アオジはいつもだいたい同じ場所でたくさん観察できます。

2024/2/11撮影 シジュウカラ

2024/2/11撮影 アオジ

そしていつもさえずりがたくさん聞こえるヒヨドリ。この鳥、多いのに以外と警戒心が強い印象ですが、この個体は結構目の前で撮らせてくれました。

2024/2/11撮影 ヒヨドリ

川沿いの遊歩道を戻ってきて花畑に入る手前の枝にモズを見つけました。高鳴きは聞こえませんでした。

2024/2/11撮影 モズのオス

そして花畑には、まだいたツグミ。この時々顔を上げて警戒する表情が面白くて好きです。

2024/2/11撮影 ツグミ

最後は、今唯一花畑で咲いている菜の花です。

2024/2/11撮影 馬入ふれあい公園の菜の花

<編集>

  • CANON DPP:
    トリミング・明るさ調整・トーンカーブ補正・彩度増加・尖鋭化処理
  • PixInsight:
    TGV Denoise(菜の花の写真だけ)

 

ビンズイ初撮影!総合公園で探鳥散策

今日は朝からコーディング仕事。。でもお昼ぐらいに行き詰まり、構成を少し変更しなければならない事がわかり、かなり気分ダウン。そう言えば明日は天気が崩れるし、いつも拝読しているモーさんのブログに総合公園でビンズイルリビタキを観察した記事が有ったなあ。。ということで、仕事の続きは明日に回して、天気が良い本日、総合公園に探鳥散策に行きました。

miyabi1958.hatenablog.com

モーさんいつもマネしてすいません。おかげでビンズイ初めて撮影できました。14:30頃からの散策でした。いつも車を停めるプール側の西駐車場から入って最初のバードウォールを観察するも鳥の気配無し。もう一つのバードウォールに向かい始めてふれあい動物園手前の左側のまばらな松林(?)の地面で、小さな緑っぽい鳥の群れが一心不乱に動き回って食事していました。太い通路脇なので人も結構通る場所です。カメラを向けてみると、図鑑に載っているビンズイの特徴が良くわかりました。

2024/2/3撮影 ビンズイ

これら2つの写真は、距離にして3mぐらいの至近距離から撮影しました。

2024/2/3撮影 ビンズイ

ビンズイを撮影後2番目のバードウォールを覗いてもやはり鳥の気配無し。そこでいつものように庭園の中に入った瞬間左にシロハラ発見。撮影したのですが、ズームを忘れて小さい。。ズームアップした瞬間に飛んで行きました。気を取り直して小さい小川の橋を渡ると、メジロシジュウカラコゲラのさえずりが聞こえてきました。

2024/2/3撮影 メジロ

メジロエナガ同様じっとしていないので、なかなか難しいです。露出不足で暗い写真を何とか編集でここまでにしました。

2024/2/3撮影 シジュウカラ

そしてシジュウカラ。水浴び場になっているらしく、可愛いシジュウカラの水浴びシーンを撮れました。

2024/2/3撮影 コゲラのオス

それとコゲラコゲラはさえずりと共に、ドラミングも聞こえていました。オスの特徴である、後頭部左右にある橙赤色の小斑を初めてはっきり撮影できました。

2024/2/3撮影 シジュウカラ

庭園を出た所にもシジュウカラ。ふっくらしていて可愛い。

2024/2/3撮影 梅

5分咲きの梅が咲いているエリアが有ったので、梅とメジロを撮りたかったのですが、遊具の音や子供の声が大きいせいか、メジロはここには寄り付きませんでした。その代わりたまにシジュウカラがやってきたので、撮影しましたが枝カブリで使いものにならず。

2024/2/3撮影 ツグミ

梅の木の下の地面で盛んにエサを探しているツグミが1羽いました。

駐車場に戻る途中2番目のバードウォール前の小高いまばらな林では、シジュウカラが多くさかんにさえずっていました。でもときおり異なるさえずりも聞こえるので、棒になっていると、ウグイスっぽい小さい鳥が枝に止まるのが見えました。カメラを向けてみると、ルリビタキのメスでした。

2024/2/3撮影 ルリビタキのメス

なかなかじっくりは撮らせてくれませんでしたが、何とか撮影できました。

2024/2/3撮影 ルリビタキのメス

その後2番目のバードウォールを覗くと、地面で小さい鳥がエサを探しているのが見えました。明らかにシロハラの採餌行動。暗かったので苦労しましたが、例によって編集でここまでにしています。

2024/2/3撮影 シロハラ

2024/2/3撮影 シロハラ

初撮影のビンズイの他ルリビタキのメスも撮影できて、来てよかったって感じです。

 

<初撮影>

ビンズイ

 

<編集>

  • Canon DPP
    明るさ調整・トーンカーブ補正・彩度調整・尖鋭化処理・トリミング
  • PixInsight TGV Denoise
    デノイズ処理

 

探鳥散策_小出川でキセキレイ

久しぶりに昼休みに小出川を散策しました。最初は曇っていて後半日が差してきましたが、気温は最初から春みたいなポカポカ陽気。

ダウンジャケットを着て行ったのは失敗でした。711でおにぎりを買って途中の川沿いの東屋で昼食。今日は意外と歩いたので8000歩達成でした。

最初に撮影したのは新湘南バイパス下の電線にいたスズメの群れ。

2024/2/1撮影:スズメ

いつもの場所にコサギ

2024/2/1撮影:コサギ

ここからは、定番のカモ類です(修正済み∶ホシハジロではなくて全てヒドリガモでした。目の色が違いました…)。ガンカモ目としては合計3種観察できました。

(再修正済み:カルガモは、コガモのメスの間違いでした!ほんとカモ類同定苦手。。)

2024/2/1撮影:マガモ

2024/2/1撮影:コガモ

2024/2/1撮影:カルガモコガモのメス

2024/2/1撮影:ヒドリガモ

2024/2/1撮影:オオバン

オオバンは、ツル目クイナ科なんですね。

2024/2/1撮影:ヒドリガモ

そして、川沿いの道の脇にある小さな畑に急に舞い降りたツグミです。表情が面白くて好きな鳥です。

2024/2/1撮影:ツグミ

モズは今日も元気に高鳴きしてくれました。

2024/2/1撮影:モズのオス

そして本日の初撮影キセキレイ。厳密には初では無いのですが、まともに撮れたことが有りませんでした。可愛く撮れて良かった!いつも法事をお願いしているお寺の前の橋の下の干潟で、盛んにエサをつついていました。

2024/2/1撮影:キセキレイ

下記は、いつもカワラヒワを撮影する葦原の中ですが、今日はアオジがたくさんいました。メスでしょうか。幼鳥のような気もします。

2024/2/1撮影:アオジ

最後は、今日も決まった木に群れで止まっていたカワラヒワです。

2024/2/1撮影:カワラヒワ

<本日の初撮影>

キセキレイ

超小型望遠鏡で満月の夜にバーナードループを撮る

仕事で納期に追われており、テレワークなのですが毎日残業。たまに休日仕事。こんなはずではなかったのに。。今月はまだ2回しか天体撮影できていません。それでも、1/26(金)は何とかプチ遠征することができました。月齢14.6の満月の夜なので、満月でどれだけの写真になるかの実験って感じです。

そして今回は、ASKAR FMA135を使ったファーストライトです。これは135mm,F4.5のカメラレンズみたいな超小型望遠鏡で、小型ですが3枚玉アポクロマート+フラットナーレンズ内蔵で、イメージサークル内でフラットな像を結ぶそうです。イメージサークルAPS-Cの範囲までカバーしているそうで、ネット上の情報によるとフルサイズでもそれなりに使えるという情報もあったので、EOS RPでも使ってみようと思って購入しました。

最適光路長(55mm)が取説に書いてあるので助かります。下記が接続構成です。BLANCA70-EDTでも使用しているbaader planetariumのフィルタードロワーを使用しています。これにより、手持ちM48サイズのフィルターが使えます。FMA135に合わせるために望遠鏡側の42mm接続板と42mm延長筒を追加調達しました。下図が接続構成です。光路長は合計55.2mmにしています。

EOS RP~FMA135

EOS RP にFMA135を取り付け

センサーの右辺が北側を向くように回転してあります。赤い部分は、標準添付のファインダーシューへの取り付け台座です。下の写真は、BLANCA-70EDTのファインダーシューに搭載したところです。未使用でも赤道儀にはBLANCAを搭載してその上にFMA135を搭載して撮影します。台座の上にさらに載っている赤いやつは、別途購入したFMA135専用のシュミットオリジナル延長台座です。ここにオートガイダーを載せます。

BLANCA 70EDTのファインダーシューにFMA135を載せたところ

下記が、今回のファーストライトで仕上げたバーナードループ写真です。初めての撮影です。

2023/1/26撮影 Barnard Loop

<諸元>

  • 機材:
    EOS RP(hkir) , FMA135,
    IRCutフィルター,L-eXtremeフィルター ,AM5赤道儀  ,
    QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 ,
    NINAによるディザリング撮影とPlateSolving
    ,PHD2による2軸オードガイド 
    ,ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅近く農道
  • 撮影日時:
    2024/01/26(金)22:05 ~ 2024/01/27(土)00:55
  • 撮影条件:
    IS800 , 60sec x 121コマ(総露光時間121分)
  • 編集:
    PixInsightのWBPPスクリプトで2xDrizzle Integration後トリミング(フルサイズ換算焦点距離180mm相当)と回転。ABEでムラ補正し疑似AOO合成で色合わせした画像から星雲画像、手動色合わせした画像から星画像を取り出し、各々BXTや彩度増加などの編集をしてから合成。

トラブルにより3時間露光する予定が2時間程度となりました。バーナードループの全景とM42をどうしても残したかったのでトリミングでも周辺コマ収差が残っています。フルサイズ換算180mmのトリミングですが、APS-Cだとすると202.5mmなので、中心を維持してこれぐらいまでトリミングすればFMA135の仕様通り確かに星像はシャープだと思います。

一応「満月の夜にバーナードループを撮る」という実験は成功としておきます。あと1時間露光できればもう少し表現できてたと思います。再チャレンジは来年かな。でも初めて撮影した天体なのでやはり感動でした。オリオン座三ツ星の左にこんな大きな星雲が存在しているという想像とともに。

WBPP完了した写真には、ベテルギウス方向からの強烈な満月の明かり、そして西の空に移ってからの強烈な街の光害。L-eXtremeフィルターを使ってもこれら両方が写り込んでいました。両方をABEで同時にムラ補正することはできませんでした。DBEで時間をかければ可能性はあるかもしれません。基本的には、月明かりだけが支配的な時間帯と西の街明かりが支配的な時間帯でIntegrationを2回に分けるのが良いとは思うのですが、後の祭り。しょうがないので最初にトリミングして月明かりが撮れない部分をカットしてから処理開始しました。これによりオリオン座の左下の2等星サイフは残せませんでした。

いつもEOS RPでは行っているディザリング撮影をしました。やりたいDrizzle Integrationはディザリング撮影必須でもあるためです。でも今回はBackYardEOSではなくて、CMOSカメラでもディザリング撮影することができるNINAを使っています。このソフトを使うのは2回目なので、使い方をすっかり忘れていてかなり時間を食ってしまいました。こうなると冷静さを欠き、色々とトラブルものです。

まずはNINAのフリーズ。色々開いている状態でNINAで撮影開始したらNINAがフリーズ。CPUパワーが100%に振り切っていました。ステラリウムなどとりあえず撮影には不要なソフトを全部閉じて何とか撮影開始。でも今度は途中でカメラ接続が切れる。。

EOSなので専用のACアダプターケーブルを電池BOXに挿してポタ電のACコンセントから電源を取っているので電源プラグ抜けとかは考えにくい。。USBケーブルをHUBから抜き差しすると直りました。かなり古いケーブルなので接続不良を起こしたのだと思っています。次回は新調しないと。

そうこうしているうちに21:30を過ぎ、子午線反転する時間。子午線反転動作を行った後、今度はAM5が接続断。原因が全く分からずかなり焦って「修理」という単語が頭に浮かぶ頃、赤道儀コネクタ部で電源プラグが抜けていることに気づきました。ケーブル突っ張りによる抜けです。これも次回対策が必要です。

というわけで遅い時間からの子午線反転スタートでした。

編集も苦労しました。今までPixinsightのバージョンはインストールしたままの1.8.9-1だったのですが、今回1.8.9-2 Build1597にアップしました。ところがここでトラブル。もともと手動インストールしたstarnet2がインストールやり直しになったのは予測の範囲内だったのですが、PixinsightのProcess-Moduleメニューを使って登録したBlurXTerminatorが動かない。インストールされているのに。実行すると下記のエラーメッセージが出ます。

Error: ERROR: MLLoad() could not load tensorflow graph. Error 3: Converting GraphDef to Graph has failed. The binary trying to import the GraphDef was built when GraphDef version was 440. The GraphDef was produced by a binary built when GraphDef version was 1645. The difference between these versions is larger than TensorFlow's forward compatibility guarantee. ...

tensorflow graphをロードできない?GraphDef が最新でないようなコメント。そこでフォーラムを調べていると、2023/12/15に同じ現象を投稿している人がいました。その回答の下記リンクをたどると、 tensorflow.dllを差し替えれば直ると書いてありました。

www.rc-astro.com

このページ内のダウンロード元からダウンロードして上書きコピー後Pixinsightを再起動すると直りました。

2x Drizzle Integrationした星雲画像はなかなかの解像感です。でもWBPP完了まで9時間ぐらいかかりました(実は露光時間を5sで撮影した画像も同時Integrationした時間も含んでいます。こちらはあまり効果が無いので使いませんでした)。撮影用ノートPCとともに編集用PCの新調が必要な気がしています。

なぜかPixInsightのImageSolverScriptのエラーが解消できなかたので今回は星画像は手動色合わせしています。同理由によりアノテーション付き画像も用意できていません。ImageSolverScriptはEOS RPで撮影すると失敗することが多いんです。原因不明です。

 

カモメ星雲のダイナミックな姿

月が接近しており、オリオン座周囲も撮影しづらくなってきました。朝方まで粘れれば良いのですが、次の日の仕事を考えると。。

今回の撮影日1/16(火)は、月齢4.6の月が22:40に没する状況でした。没してからの撮影だと撤収がかなり遅い時間になってしまうので、月明かりの中デュアルナローバンドフィルターを使用して開始しました。この日は夕方まで有った風が、全く無くなり、しかも快晴。良い写真になる予感。。

対象は、カモメ星雲(Seagull Nebula:IC2177)です。-1等星シリウスより少し高度があるものの、南中高度は約40°と結構低い天体です。この星雲も以前一眼レフカメラで撮影しています。

webkoza.hatenablog.com

この時はISO1000で総露光時間84分でしたが、かなり荒い写真になってしまいました。まだPixInsightでの編集を行っておらず、後で星を小さくする処理だけをPixInsightで行っています。

今回は3時間以上露光するつもりで、20:30頃から撮影開始。途中11時過ぎに子午線反転のため再導入してからさらに少し露光しました。下記が仕上げた写真です。

カモメ星雲(IC2177)

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro , BLANCA-70EDT+KASAI ED屈折用0.8xレデューサーII ,
    IRCutフィルター,L-eXtremeフィルター , AM5赤道儀  ,
    QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 ,
    SharpCapによる撮影 ,PHD2による2軸オードガイド 
     , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅近く農道
  • 撮影日時:
    2024/01/16(火)20:20 ~ 2024/01/17(水)00:11
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -20℃ 
    120sec x 104コマ(総露光時間208分)
  • 編集:
    PixInsightで加算平均合成後ABEでムラ補正し、疑似AOO合成で色合わせした画像から星雲画像、SPCCで色合わせした画像から星画像を取り出し、各々BXTや彩度増加などの編集をしてから合成。トリミング(フルサイズ換算焦点距離656mm相当)

トリミングは、子午線反転後の位置ズレの影響が出ている周囲部分を落とす程度にしました。

予定通り3時間以上露光できましたが、やはり淡い天体ですね。正直もう少し表現できると考えていました。でもフラット補正も決まり、ABEによるムラ補正も良くできて、それなりのS/Nが確保できたので、まあまあ詳細構造を表現できました。頭の上の2本の耳が後ろにたなびいているような感じもわかります。なによりも羽を広げたダイナミックな形が良いと思っています。前回とは比べるべくもない感じです。

下記はアノテーションを入れた画像です。

PixInsightのAnnotateImage Scriptではカモメ星雲IC2177を含む全体がsh2-296となっています。頭の部分のsh2-292には青っぽく写る反射星雲が存在しているようですが、デュアルナローでは全く写りませんでした。

羽の端から端までは、3°近くある大変大きなHII領域です。この星雲は、一角獣座の足元、おおいぬ座の頭の上にあります。

IC2177の位置:ステラリウムより