楽しい記憶

天体写真や花鳥風月の写真など

California Nebula

FMA135の画角で撮り直してみたかった、大きな星雲シリーズ第2弾は、カリフォルニア星雲です。Hear&Soulと同じ晩の撮影です。この星雲は終始我が家の軒下に入らないため、2晩ともHear&Soulが軒下に入ってしまった後に撮影開始しました。

この星雲も去年QBPIIIフィルターを使って撮影しています。

webkoza.hatenablog.com

420mm x 0.8 = 336mmの画角での撮影でしたが、左下の淡い部分が若干切れてしまっていました。135mmの画角であればマイクロフォーサーズでは全体が入り最適です。

下記が今回仕上げた写真です。

2024/10/12,13撮影 カリフォルニア星雲(NGC1499)

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro ,
    FAM135(D=30mm,f=135mm),L-extremeフィルター ,IR-Cutフィルター
    AM5赤道儀  ,QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによるアライメント,
    APTによるピント調整支援、GOTO++、ディザリング撮影 ,
    PHD2による2軸オードガイド  , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅庭
  • 撮影日時:
    ①2024/10/12(土)00:53 ~ 2024/10/12(土)02:18
    ②2024/10/13(日)00:30 ~ 2024/10/13(日)02:57
  • 撮影条件:
    Gain200 , Offset5 , センサー温度 -5℃
    ①120sec x 35コマ(露光時間70分)
    ②120sec x 57コマ(露光時間114分)
    総露光時間 184分
  • 編集(PixInsight):
    FBP/GXP/BXT/SXT/GHS/NXT等
    フルサイズ換算焦点距離330mmにトリミング

今回も疑似AOO合成ですが、鏡筒の他に前回と違うのは、L-extremeフィルターを使っている点です。半値幅7nmのデュアルナローバンドフィルターです。Exposure Timeを4分ではなく2分にしたことにより、フィルター由来の「センサー感度ムラかもしれないゴーストのようなもの」は綺麗にフラット補正で消えたので気持ちが良いです。

デュアルナローの効果により、超小型望遠鏡でも結構な解像感になったと思っています。描写できている範囲も前回より増しました。AOOでは青色が表現できないのが悔しい所です。

アノテーション

アノテーションを付けてみると、前回左側が切れていた星雲の指示円がめでたく全部表示されました。今回は、ペルセウス座の星座線も入れてみました。

ペルセウス座の4等星メンキブ(46番)と49番星が画角に入っています。メンキブの色温度B-V値は0(シリウスと同じ,ベテルギウスは1.52)*1なので、高温の青い星です。この星の綺麗な青色は写真のアクセントになっていますね。

星雲の場所を示す星座絵も再掲しておきます。

カリフォルニア星雲の場所(ステラリウムより):赤丸右側

 

*1:ステラリウムより

Heart & Soul

仕事が忙しく、ブログ執筆周期が延びています。3連休初日の昨日は朝から仕事を開始し、夜はHeart & Soulの撮り増し分を放置撮影しながら仕事。。それでもブログは無理せずマイペースで書いていきますのでよろしくお願いいたします。

実は今日、噂の紫金山アトラス彗星観望のために、三浦半島西側に行ってきました。結果はバッチリでした!肉眼で彗星を視認したのは初めての経験で、感動しました。

8x40の双眼鏡で見るとさらにすごく、画面いっぱいにイオンテールが確認でき、少し興奮気味に「こんなに明るいの?」と独り言を言ってしまいました。まだ学生の頃の38年前、ハレーを見るために中古の古い車での遠征中に、車が故障して彗星観望どころでなくなってしまったことを思い出しました。

EOS RPでの追尾無し写真もとりあえず大量に撮ったので、この記事は頑張って明日書こうと思います。

撮影結果

今回は、前回EOS RPで撮影しようとして失敗したHeart & Soulです。

webkoza.hatenablog.com

今回はF4.5 135mmのFMA135と294MCPを使用して撮影しました。デュアルナローバンドのL-extremeフィルターも使用しています。この時期庭で撮影できることが分かったのですが、最初に電線通過待ちの後、子午線反転前に軒下隠れとなるため、2晩に分けて撮影しました。下記が仕上げた写真です。

Heart & Soul

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro ,
    FAM135(D=30mm,f=135mm),L-extremeフィルター ,
    AM5赤道儀  ,QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによるアライメント,
    APTによるピント調整支援、GOTO++、ディザリング撮影 ,
    PHD2による2軸オードガイド  , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅庭
  • 撮影日時:
    ①2024/10/11(金)23:10 ~ 2024/10/12(土)00:28
    ②2024/10/12(土)21:25 ~ 2024/10/13(日)00:23
  • 撮影条件:
    Gain200 , Offset5 , センサー温度 -5℃
    ①120sec x 16コマ(露光時間32分)
    ②120sec x 64コマ(露光時間128分)
    総露光時間 160分
  • 編集(PixInsight):
    FBP/GXP/BXT/SXT/GHS/NXT等
    フルサイズ換算焦点距離330mmにトリミング

1日目は雲通過待ち大量発生でした。2日目は割と順調でした。

前回に比べたら少しは上達したかなあ。あと2時間ぐらい撮り増しすれば、ハートに刺さる矢の羽の部分も表現できる気がします。やはり2つセットで画角に入れると良いですね。

今回は、センサー特性を考慮した疑似AOO合成です。結構ピンクに寄りましたが、敢えて赤にシフトしていません。最近はPixInsightで4つものAI処理を導入し、さらに高速になったFBPスクリプトも使っており、だいぶ楽になりました。

でも四隅の星の形が悪いです。FMA135の仕様書通りのバックフォーカスにしているのに。。デュアルナローを使う時はバックフォーカスの調整が必要なのか、それとも星画像はブロードバンドフィルター写真から得る事が必須なのか。。

アノテーション

上記は、アノテーションを入れたものです。トリミングはしていますが、これだけ広い画角を冷却CMOSカメラで使えるので、FMA135は重宝しています。

番外

それと、ようやくL-extremeと294MCPを使ったときに必ず写り込む「赤いゴーストのようなもの」(下図)への対策が決まりました。

FMA135+L-extreme+294MCPで必ず出るゴーストのようなもの(FLAT画像)
(FITSビューワーで強調しています)

これが何なのかずっと謎だったのですが、

「L-extremeフィルターを使用したために強調される、294MCPの感度ムラによるゴースト」

ではないかと考えています。もちろん間違っているかもしれませんが、この考えに至った理由は下記の4つです。

  1. L-extreme + 294MCPを使用した時にしか起きない
  2. 使用する光学系にはよらない(BLANCA-70EDT、FMA135、R200SSで発生)
  3. どの光学系(アダプターや延長チューブ類含む)でも同じ形状のように見える
  4. Exposure Timeを長くすると目立ってきて、FLAT補正できなくなる

4に気づくのに時間がかかってしまいました。2は最初から分かっていたのですが、48mmのフィルタードロワーを使用し始めてから、このスペース内乱反射によりひどくなってFLAT補正失敗するようになったと思い込んでいたわけです。ところが、ドロワーを使わないR200SSでも全く同様に発生しFLAT補正失敗したことから、よくよく調べてみると、ドロワー導入と同時期から以後Exposure Timeを2分から4分に変更していました。

FLAT画像も何度も撮り直してみたり、また、いくつもの写真をボツにしてきましたが、4に気づいたため、今回Exposure Timeを2分にして撮影してみると、FLAT補正は完璧に決まりました。

実は、Heart & Soulも最初4分で撮影したのですが、どうしても「ゴーストのようなもの」が補正しきれずに残ってしまい、ムラ補正処理では取り切れずボツにしました。

今後L-extremeを使う時は2分でいくつもりです。これでボツ写真が減るか。。

 

初撮影の3天体

私の勤務形態は月4回の出社日以外は、自宅でのテレワーク。月間スーパーフレックスなので何時から何時まで働くのも自由という恵まれた環境です。だいたいいつもAM9時には仕事を始め、終わりは仕事次第です。たまに都内に出張も有ります。

家でたとえ21時まで仕事をしていても、晴天の夜だと、ごそごそと庭または庭先の駐車場に新しい鏡筒を引っ張り出して夜更けまで。これって体に悪いなあ。。と思いつつもやめられません。

そして、今宵も庭でDSO(Deep Sky Objects)の撮影をしています。リビングのPCで撮影PCにリモート接続してAPT(Astro Photography Tool)の進捗音声を聞きながら、このログを書いています。

今回は先日撮影した2つの星団と、ひとつの反射星雲の紹介です。反射星雲ははっきり言って失敗作です。。

球状星団M15

この球状星団は、ベガスス座の大球状星団として有名な天体です。下記が仕上げた写真です。

球状星団M15

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro ,
    GS-200RC(D=203mm,f=1624mm)+KASAI ED屈折用0.8xReduser,
    CBPフィルター ,
    AM5赤道儀  ,QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによるアライメント,
    APTによるピント調整支援、GOTO++、ディザリング撮影 ,
    PHD2による2軸オードガイド  , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅庭
  • 撮影日時:
    2024/09/06(金)23:48 ~ 2024/09/07(土)00:36
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -5℃ 
    240sec x 12コマ(露光時間48分)
  • 編集(PixInsight):
    FBP/GXP/SPCC/BXT/GHS/NXT等
    フルサイズ換算4060mm相当にトリミング

緯度は12°程度。白鳥座より少し南のペガスス座に位置しています。10'ほどの直径を持つ大きく立派な球状星団です。露光時間が短かったせいもあり、思ったより星の数が少ないです。ヘルクレス座のM13より少し小さいですが迫力は優るとも劣らない大変美しい球状星団です。

散開星団M39

あまり散開星団を撮影しないのですが、今回は星像の確認のために撮影しました。この星団も初撮影です。

散開星団M39

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro ,
    GS-200RC(D=203mm,f=1624mm)+KASAI ED屈折用0.8xReduser,
    CBPフィルター ,
    AM5赤道儀  ,QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによるアライメント,
    APTによるピント調整支援、GOTO++、ディザリング撮影 ,
    PHD2による2軸オードガイド  , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅庭
  • 撮影日時:
    2024/09/06(金)23:48 ~ 2024/09/07(土)00:36
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -5℃ 
    240sec x 11コマ(露光時間44分)
  • 編集(PixInsight):
    FBP/GXP/SPCC/BXT/GHS/NXT等
    フルサイズ換算4060mm相当にトリミング

白鳥座デネブとトカゲ座の中間ぐらいの天の川の中に位置する、直径30'以上もある大きな散開星団です。明るい星が多く写りが良いのですが、まばらなので迫力に欠けますね。

反射星雲IC63

この星雲は、カシオペア座Wの真ん中γ星「ナビ」に照らされて光っている反射星雲です。BバンドとVバンドの差である色指数は、ステラリウムによると-0.06。シリウス(0.00)より高温で青いということになります。ナビ由来の美しい青と、HII領域の赤のコントラストを表現したくて狙ってみたのですが、下記の通り。

IC63とカシオペア座ナビ

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro ,
    GS-200RC(D=203mm,f=1624mm)+KASAI ED屈折用0.8xReduser,
    CBPフィルター ,
    AM5赤道儀  ,QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによるアライメント,
    APTによるピント調整支援、GOTO++、ディザリング撮影 ,
    PHD2による2軸オードガイド  , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅庭(①)、庭先(②)
  • 撮影日時:
    ①2024/09/07(土)22:16 ~ 2024/09/08(日)00:52
    ②2024/09/08(日)20:58 ~ 2024/09/09(月)01:27
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -5℃ 
    ①240sec x 36コマ(露光時間144分)
    ②240sec x 37コマ(露光時間148分)
    合計292分
  • 編集(PixInsight):
    FBP/GXP/SPCC/SXT/BXT/GHS/NXT等
    フルサイズ換算2750mm相当にトリミング

IC63本体の姿はわかるものの、周囲の星雲については、見た感じ全くS/Nが足りていません。となりのIC59もうっすらと分かる程度です。ネット上の他の方の写真を見ると、もっと短時間露光で、青と赤の美しい写真が多く、比較になりません。今回の結果は結構がっかりでした。

原因としては、LED街灯と隣の家の2階の部屋から漏れていた明かりによる、複雑なカブリだと思っています。庭から狙うと、隣の家の2階の屋根から出てくる感じで、部屋から漏れる明かりの影響を受け、庭先から狙うと、隣の家の前に有るLED街灯の影響を受けます(庭からだと木によってLED街灯は遮られる)。今回のように対象の位置によっては、帯域の広いフィルター撮影はかなり苦しいということが分かりました。

アノテーション

それと、ガイド精度において風の影響が大きいことが分かりました。歩留まりが以前より悪いんです。

長焦点鏡筒ゆえですが、もちろんケーブルだらけという事も原因の一つだと思っていますので、とりあえず束線をもう少し何とかならないか検討の余地は有ります。

それでもだめなら、ガイド鏡の焦点距離を延ばすよりも、オフアキの検討かなあ。。

M15とM39、IC63の場所

最後にステラリウムより、3つの天体の場所を示しておきます。

夏の大三角(こと座ベガ、白鳥座デネブ、わし座アルタイル)が全て子午線を越えた時点の絵です。

星座絵と天体の位置

 

新鏡筒の1stWrite

新月期の9/5(木)久しぶりの晴天に恵まれましたので、さっそく新鏡筒のGS-200RCを庭先に設置。ドリフトアライメントで極軸を合わせた後、まずは輝星を使って主鏡傾きを調整してから撮影開始。予告通り対象はらせん星雲(NGC7293)です。

1stWrite結果

去年BLANCA-70EDTで撮影したデータの再編集記事は下記

webkoza.hatenablog.com

この時は今回と同じQBPIIIフィルターを使って102分の露光時間でした。今回は、204分と倍の露光時間としました。しかし庭先からの南天は公害カブリが酷く、あまりS/Nが上がりませんでした。これにより編集に苦労した割には良くなりませんでした。

下記が仕上げた写真です。

2024/9/5撮影 みずがめ座:らせん星雲(NGC7293)

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro ,
    GS-200RC(D=203mm,f=1624mm)+KASAI ED屈折用0.8xReduser,
    QBPIIIフィルター ,
    AM5赤道儀  ,QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 , SharpCapによるアライメント,
    APTによるピント調整支援、GOTO++、ディザリング撮影 ,
    PHD2による2軸オードガイド  , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅庭
  • 撮影日時:
    2024/09/05(木)21:07 ~ 2024/09/06(金)00:24
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -5℃ 
    240sec x 51コマ(露光時間204分)
  • 編集(PixInsight):
    FBP/DBE/ABE/SPCC/SXT/BXT/GHS/NXT等
    フルサイズ換算3380mm相当にトリミング

細部構造の描写はさすがに前回より向上しているものの、期待したほどでは有りません。北東方向に生えるクセッ毛も、やっと認識できる程度です。でも内部の青色と黄色い部分を何とか表現できました。やはり暗い空で狙ってみたい天体です。

この写真はスケアリング調整しないで撮影しています。若干ずれているので、周辺の星のピントが甘くなるとか想像したのですが、影響は感じられませんでした。

星像について

これについては、今までに無いぐらい良いので驚いています。KASAIのED屈折用0.8xReduserを使った、撮って出し画像をFitsViewerで自動ストレッチしたものを、中心部とコーナー部それぞれ4倍に切り出した写真が下記です。

上がペガスス座の大球状星団M15周辺(スケアリング調整前・9/6撮影)、下が白鳥座散開星団M39(スケアリング調整後・9/7撮影)です。星像に違いは出ませんでしたが、どちらの写真も右上と左上が若干伸びています。

M15周辺星像:中心部とコーナー部4倍切り出し

M39星像:中心部とコーナー部4倍切り出し

これぐらいであれば、BXTで補正可能なレベルだと思います。

そして何と言っても中心部の星の形が良くて気持ちが良いです。これら星団の編集結果は後日掲載します。

スケアリング調整

スケアリング調整は、前回触れたとおり、接眼部に取り付けてあるKASAI M90スケアリング調整リングを使って調整しました。

方法としては、昼間作業部屋でカーテンを引き、0.5mm厚の乳白色のプラバンを鏡筒前面に密着させ、疑似的な薄明フラットを撮影します。SharpCap上のHistgramStretchで周辺減光をわかりやすく表示しながら、スケアリング調整リングの押し引きネジを回します。これで上下左右対称になったら、保存したfitsファイルをマカリのコントアを使って等光度パターン描画して確認します。これを根気よく何回も繰り返します。

下記が調整前と後です。

スケアリング調整前の等光度パターン

スケアリング調整後の等光度パターン

調整後の画像が薄くて見にくいのですが、これは時間と共に部屋が暗くなって来てるのに同じ露光条件でやり続けてしまったからです。

プラバンの密着が悪い部分があったため中心部が真円で無いのですが、だいぶ合ったと思っています。完全では有りませんが。。

らせん星雲の再編集など

これだけ望遠鏡を出せない夜が続くといやになります。実は新鏡筒を購入し、うずうずしております。焦ってもしかたないので、今回のブログネタは去年の8月に撮影した、みずがめ座のらせん星雲(NGC7293)の再編集ネタです。

今月のkさん主催の月夜会も大変濃い内容で勉強になりました。桐村さんのPIによる編集実演で登場した、ImgeBlend Scriptをさっそくインストールして使ってみようとしたのですが、PhotoShop使いがすぐに使いこなせるような感じのツールのようですが、PhotoShopを使ったことが無い私にとっては結構敷居が高く、使い方が良くわからず今回は使えませんでした。

このスクリプトは色々なパターンを選択して、2つの画像をブレンドします。各パターンを実現する計算式を使ってPixcelMathで生成するスクリプトのようですが、このパターンやパラメーターが多く、使いこなせば強力なツールになりそうです。

再編集は、お試し中のStarXTerminatorと、今回ダウロードしたお試し版のNoiseXTerminatorを使用してやってみました。去年のらせん星雲の記事は下記。

webkoza.hatenablog.com

1年経ってあらためて見てみると、ひどい仕上がりでした。彩度上げすぎ、中心の色が緑過ぎ、細部構造ボケ過ぎと、悪の3役そろい踏みです。

今回再編集したものと比較してみました。

下の写真は同じIntegration(スタック)した画像を再編集しただけです。上記「悪の3役」を倒せたのではないでしょうか。欲を言えばもう少し中心を青くしたかったですけどね。7cmF6鏡筒で総露光時間102分で、これぐらい表現できればとりあえず満足です。

我ながらこの1年間での編集力向上に驚きます。編集次第でこれだけ結果が変わるので、時間をかけてしまうんですよねえ。。

ノイズが多い写真だったこともあり、NoiseXTerminatorの大きな効果を実感しました。ノンリニア段階の分離星雲画像にノーマスクで適用しました。

さて、新鏡筒で最初に撮りたいのは、このらせん星雲です。庭先から狙える期間は短いので、間に合うか心配です。

三日月星雲再撮影

前回8/4の撮影開始前に気づいた、R200SSのドローチューブ固定ネジを固くしたら星像が極端に悪くなった件について、センタリングスコープを覗きながら昼間に調べてみました。

ドローチューブ固定ネジを締めすぎる(と言っても常識的な硬さですが)とカクンという感じで像全体が少し平行移動します。そして詳細に観察すると斜鏡センターマークも若干ずれてました。前回はこの状態で撮影してしまったわけです。

ドローチューブの平行移動が像に与える影響が良くわかりませんが、この対策として、ドローチューブ固定ネジは、ゆるゆるのままいじらないことにし、代わりにピント調整ノブ(=ドローチューブ移動ノブ)を抑えている4本のプラスネジを少し硬くして、姿勢変更でも動かない程度にしました。ピント調整はさらにやりにくくなりますが、背に腹は代えられません。この状態で事前に光軸を合わせておきました。

8/8(木)は薄雲予報だったので諦めていたのですが、8時過ぎに仕事がようやく終わって空を見ると快晴!すぐに機材を庭に出して、三日月星雲を撮り直しました。本当は、明るいうちにセットしてセンタリングスコープで光軸チェックと調整を再度行いたかったのですがしょうがない。。

今回無風だったこともあり極軸精度はかなり良く、しかもサドルによるピント調整も時間をかけて良い精度(APTのBahtinovAidでOnFocusが出たのは初めてでした)にできました。2時間と少しの露光中ピント再調整はしませんでした。

下記が仕上げた写真です。

三日月星雲(NGC6888)

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro , R200SS(D=200mm,f=800mm)+コマコレクター,
    QBPIIIフィルター ,
    AM5赤道儀  ,QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 ,
    APTによるピント調整支援、PlateSolving、ディザリング撮影 ,
    PHD2による2軸オードガイド  , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅庭
  • 撮影日時:
    2024/08/08(木)21:47 ~ 2024/08/09(金)00:18
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -5℃ 
    240sec x 33コマ(露光時間132分)
  • 編集(PixInsight):
    FBP/GraXpert/SPCC/BXT/GHS等
    フルサイズ換算2096mm相当にトリミング

最後は雲の出現で終了となりました。露光時間は前回8/4より8分増えただけですが、Integration後の見た目のS/Nはかなり良いように思いました。S/Nが良いと編集もやり易く、前よりもずいぶんと細部構造も出せました。

課題だった星像については、まだおにぎり型では有りましたが、前回よりは改善しており、補正の効果により、まあまあな結果になったと思っています。

撮影PCを新調したこともあり、前回はAPTのGOTO++がどうしてもうまくいかず、さらにSharpCapも立ち上げて、SharpCapの温度制御をオフにしてからShapCapの「プレートソルブ後再同期」で回避しました。

後で調べてみると、旧PCにはスターカタログをD20のみ登録してありました。新PCにはD50のみを登録していたので、D20も追加で登録してみました。これにより今回撮影時は、無事APTのGOTO++もうまく動きました。

ちなみに現在、極軸合わせ後の私の撮影フローはだいたい下記の通りです。ピント調整用の輝星をSharpCapで精密導入するのは、APTよりかなり速いからです。APTで撮影するのは、ディザリング撮影を行うためです。

  1. ステラリウムの望遠鏡ガイドプラグインで対象近くの輝星導入(ctrl+1 か alt+1)
  2. SharpCapの「プレートソルブ後再同期」で精密導入(輝星が画面中央へ)
  3. APTでセンサー温度設定
  4. APTのBahtinovAidでピント調整
  5. ステラリウムで対象導入
  6. ディザリング撮影開始
  7. ステラリウムで子午線反転導入
  8. APTのPointCraftでステリウムの座標取得後GOTO++で精密導入
  9. ディザリング撮影開始

 

 

Crescent Nebula

タイトルが2回連続で英語ですが、特に意味は有りません。今回は私にとって初めての撮影天体です。白鳥座の有名な三日月星雲(Crescent Nebula)をR200SSで撮影してみました。

仕上げた写真

白鳥座 三日月星雲(NGC6888)

<諸元>

  • 機材:
    ASI294MCPro , R200SS(D=200mm,f=800mm)+コマコレクター,
    QBPIIIフィルター ,
    AM5赤道儀  ,QHY5L-IIM+3cm 130mmガイド鏡
  • 支援ソフトウェア:
    ステラリウムによる自動導入 ,
    APTによるピント調整支援、PlateSolving、ディザリング撮影 ,
    PHD2による2軸オードガイド  , ASI Mount Serverによる赤道儀連携
  • 撮影地:
    神奈川県茅ヶ崎市自宅庭
  • 撮影日時:
    2024/08/04(日)21:20 ~ 2024/08/04(日)23:53
  • 撮影条件:
    Gain200 , センサー温度 -5℃ 
    240sec x 32コマ(露光時間128分)
  • 編集(PixInsight):
    FBP/GraXpert/SPCC/BXT/GHS等
    フルサイズ換算2096mm相当にトリミング

いつものように大人の事情によりトリミングしていますし、星の形が今一ですが、比較的輝度の高い部分の内部構造は表現できました。周りの淡い部分も若干写っています。さらに露光すれば内部の細部構造も見えてくるでしょう。

長手方向で視直径16'ぐらいの広がりでしょうか。サイズ的には、焦点距離800mm,マイクロフォーサーズのセンサーでちょうど良い感じです。

これ超新星爆発の残骸なのかなと思って調べてみると、そうでは有りませんでした。中心のウォルフ・ライエ星(青色巨星)WR136の高速の恒星風と、約40万年前の赤色巨星の時に放出された速度の遅い恒星風が衝突して形成されている散光星雲だそうです。つまり中心にいるのは、超新星爆発を起こしていない恒星(青色巨星)ということになります。

星像について

タカハシのセンタリングスコープは便利です。スコープ中心と斜鏡中心、スコープ中心と主鏡中心の各々合焦でき、その中間過程も観察できるので、光軸の追い込みに使えます。今回は、このセンタリングスコープでバシっと合わせてから、明るいうちに庭に出してセッティング。

念のため庭で再度センタリングスコープで覗いてみると、スコープセンターと主鏡センターは合っているように見えるのに、斜鏡センターが少しずれていました。おかしいと思って、筒の姿勢を変えるとずれ方が変化しました。

つまり斜鏡が筒姿勢でズレたわけです。そこで三日月星雲を撮り始めるぐらいの姿勢にした状態でセンタリングスコープを見ながら、斜鏡角度調整を行いました。固めに六角ネジを締めたら姿勢変化でも目立ってずれなくなりました。

この状態の撮って出しが、下の右写真です。星像はまあまあです。これで撮影開始したのですが、2枚撮ったところでピントが甘いことに気づき、ピントの再調整をしました。その後の撮って出しが左写真です。今回このまま撮り続けて仕上げています。

左の星像を見ると「おにぎり型」です。近くのサドルに筒を向けてピント再調整しただけです。原因がこのピント再調整後に光軸がズレた事に有るのは間違いないと思います。ピント再調整した時、ドローチューブ固定ネジをかなり固く締めてしまったのが敗因と思っています。あまり緩いと撮影中に動いてしまうので、ついやってしまいました。

星像の違い

それにしても、左写真のおにぎり星像が、BXTでよくここまで補正できるものだと感心してしまいます。